英国のEU離脱の大騒ぎが続いている。そもそも大騒ぎになったのは相場が動いたからで、日本のメディアで、事前にその重要性を取り上げたところはあったのだろうか。
大きく相場が動いたのは原因は、直言すれば、リーマン後の過剰流動性と、中央銀行主導の経済に慣れてしまった市場環境の白痴化だと思う。
この二つは相互作用。流動性の主役はAIになり、人間が値動きについていくには、近代史の経緯、あるいはもっと深いところで、人間社会の根幹を形成した宗教や哲学の重要性など、今の相場ではどうでもよくなった。
つまり政治よりも経済指標。このような相場のスタートは、経験からは冷戦終了からだ。加速されたのは2000年以降。アメリカでブッシュ大統領がアメリカ史上初のMBA出身者だったのは時代の象徴だったと思う。
しかし世の中は面白い。そういう時代の後、何が重要なのかを問いかけている。この騒動は、前述の二つの要因で相場が高止まりしているこの数年間、アメリカ一国支配によるグローバリゼーションのUNWINDが始まっていたこと。そしてそのことに準備する相場参加者の感覚が不足したことが露呈されただけ。
実体経済は直ぐには変わらない。しかし市場関係者やエコノミストの中には「未曾有の危機」が始まったなど言う人がいる。結果をやたらと煽ったり、共感で存在感を高めるのはこちらではプロの仕事ではない。
危機ならとっくに始まっている。ここではTHIS IS ITの始まりを二年前からいっているが、今日モハメドエルアリアンが似たようなことを言っていた。彼はTHIS IS ITを、T字交差点に例えていた。
http://finance.yahoo.com/news/mohamed-el-erian-key-questions-regarding-brexit-eu-referendum-233441569.html
結局はオックスフォードとハーバードで学び、PIMCOからIMFまで世界の要職をつとめるエルアリアンでさえ、経済は行き止まりまできたが、これからは明確に示唆していない。二極化のなか彼の立ち場は右。だが世界がどちらを選ぶかは未定だということだ。
ところで、さきほどユーロ2016で、人口5000万のイングランドが、人口30万のアイスランドに負けた。この衝撃は大きい。(個人的にもびっくり。だからこのコラムを書いた)
有料レターでは、国民投票で残留にかけるのは妥当。ただしレスターの優勝から何かが始まっている。まさかを準備しろと指摘した。この敗北も英国にとっては「まさか」。国民にとっての衝撃はBrexitの結果より大きいのではないか。(Brexitが出来ないまさか)
そしてこの試合でアイスランドで活躍したのがラグナー選手。ラグナーはブリテン島に攻め入った伝説のバイキングの名前(Ragnar Lothbrok) 。彼は途中で死んだが、孫達はアングロサクソンのイングランドを征服した。
その北海帝国のキング・クヌートが、ゲームオブスローンズのジョンスノーのモデルだと個人的には観ている。クヌートの後、同じバイキングから大陸の血(フランス)が入ったノルマンデイー公の征服王ウイリアム一世がディナリスなら、ドラマの終焉は近い・・