The Atlantic より
以下はレターからの抜粋。
From: Osafumi Takizawa
Sent: Tuesday, April 11, 2017 3:57 PM
To: Osafumi Takizawa
Subject: FW: Takizawaレター <地政学の現象と裏側>
Sent: Tuesday, April 11, 2017 3:57 PM
To: Osafumi Takizawa
Subject: FW: Takizawaレター <地政学の現象と裏側>
直近ではトランプによるシリア空爆。
さらには北朝鮮への軍事侵攻の可能性。
皆が地政学リスクというが言葉を発し、
専門家はいろいろ解説する。
だが、個人的には現象面だけでは、
本当の主役は見えないと思う。
そこでここでは独自に別の解説をしたい。
まず第二次世界大戦終了後まで遡ると、
そこからの世界の大きな対立軸は以下の二つだった。
1)米ソ超大国のイデオロギーの対立。
2)中東の宗教対立。
朝鮮、インドシナ、ベトナムのそれぞれの戦争は1)の延長。
2)はパレスチナをめぐるイスラエル対アラブの構図が
レーガンの頃にはアラブ内の宗教対立へ変化した。
そのきっかけが、
イスラエルと米国が暗躍したイランイラク戦争だったことには、
異論はないと思う。
当時イラン革命で米国はイランと敵対状態となったが、
共和党レーガン政権は、イラクのフセインをそそのかし、
イラン攻撃を決断させる一方、裏では米国議会を騙し、
極秘で敵のイランに武器を売り、その資金で、
南米反左翼ゲリラを支援した(イラン・コントラ事件へ)
一方イスラエルはこの時はイランを援護した。
イラン革命直後のイランは基盤が弱く、
イスラエルがイランに武器を供給することで、
フセインへの反撃が可能になった。
一見米国とイスラエルは、
それぞれ敵対する別の国を支援したことになるが、
イスラエルがイランへ売った武器も、アメリカがイスラエルに売った物。
つまり、イランイラク戦争は、アメリカの武器で双方が戦った。
そして一番重要だったのは、
イランが頑張ってフセインを東側にひきつけている限り、
西ではパレスチナを応援するアラブ勢によるイスラエル包囲網は不完全だったこと。
これはイスラエルの窮地をすくった。
この時、アメリカとイスラエルの策略にのり、
アラブによるイスラエル包囲網を放棄したフセインを、
後にアラブ最大のオオバカ者と非難したのがビンラデインだ。
ところがブッシュはフセインをそのビンラデインと結びつけ、
最後は大量破壊兵器の存在と言う嘘をでっち上げた。
それを疑わなかった多くの人。多分今もそのままだと思う。
いずれにしても、この時の包囲網の失敗を最後に、
冷戦後のアメリカの一国支配が完成すると、
アラブのスンニ派の王族のイスラエルへの敵対行動は殆ど消滅した。
そしてそこからは、テロの主役も、パレスチナのアラファトから、
アルカイーダのビンラデインへ引き継がれた。
そんななか、イスラエルの敵として残ったのがシーア派勢力だ。
ヒズボラの後ろのシリア。その後ろのイラン。
イランは孤立していた北朝鮮と核開発でつながり、
台頭する中国と復活を狙うプーチンのロシアは
それぞれ北朝鮮とイランの後ろにやんわりと構えた。
そして今、皆が地政学リスクとよんでいる現象は、
個人的には、米中露の大国を間で暗躍するイスラエルが、
アメリカを操りながら、地球上で最後の敵となったイランを
追い詰める前座を見ているようなものだと考えている。
前述のように、80年代から90年代初頭、
イスラエル強硬派と組みしたレーガン外交の子分たち。
彼らはイラク戦争ではネオコンと結託しブッシュを支えたが、
今は国務長官のテイラーソンまで懐柔に成功した。(エリオットエイブラム氏)
一方冷戦後のクリントン時代に勢力を拡大したのが
穏健派ユダヤ社会のグローバリストたち。
世界に拡散する彼らは、欧米の殆どのリベラル系メデイアを支配し、
今の世論の中心的存在だ。
トランプはこの二つの勢力から攻めたてられ
添付の挿絵のひび割れの中に、バノンらが
落ちる寸前になっている。
そういう中では、今の地政学リスクとやらを
米中露の大国を軸に騒いでも本質は見えない。
なぜなら、ブーマー世代の指導者が(トランプ 習金平 プーチン)
今の段階でガチンコ勝負をすることは考えられないから。
それよりも、トランプはシリア空爆で
中国とロシアにプレッシャーをかけたことになる。
プレッシャーとは、ロシアにはアサドを見捨てさせること。
そして中国には、中国が自分で北朝鮮を攻めさせること。
実行されれば、
イランは核開発を協調した北朝鮮と、
大国ロシアの協力の二つを一度に失う。
仕掛けているのが誰かは言うまでない。
(イバンカはバノンよりおそろしい)
いずれにしても、
そうなると、イランはどのような反撃に出るか。
実はここが、今の地政学リスクと市場との関係では最大のポイントだと思う。
それは次号のレターでサイバーテロを中心に触れる。
< ナイトロゼウス (Nitro Zeus) が発動するとき >
イスラエルとイランの地政学リスクを押さえるため、
必死だったのがオバマ大統領だった。
以下はNYタイムスと2016年のドキュメンタリー
Zero days からの要約。
(参考)
https://www.youtube.com/watch?v=Yc7Tk3mwM38
http://www.nytimes.com/2012/06/01/world/middleeast/obama-ordered-wave-of-cyberattacks-against-iran.html
2008年、オバマがブッシュから引きついだ極秘プロジェクトは二つ。
一つはパキスタンのドローン作戦。
そしてもう一つが、コードネーム ”オリンピックゲーム”
イランの核施設への極秘サイバー攻撃だった。
事の始まりは2006年。フセインが死んだ後、
カダフィーは英米に服従した。
だがイランは核施設構築を急いだ。
この頃アフマネネジャド(イラン大統領)は
”イスラエルを地図から消す”などと発言。
ネタニヤフはイランの核施設空爆を主張。
ブッシュ政権は戦線がイラクからイランまで拡大することを恐れ
イスラエルをなだめた。(チェイニーだけが空爆に賛成した)
この時CIAとイスラエル当局がブッシュに進言したのが新手のサイバー攻撃。
NSAスタッフがウイルスの開発を担当した。(後にスノーデンによって様々なことが確認された)
このウイルスは感染後に自分で進化するウイルスのstuxnetだ。
米国はカダフィーが引き渡したパキスタンのカーン博士の基本構造を元に
同じ構造のイランの核施設のモデルを作り、stuxnetの実験を繰りかえした。
そして実験が成功すると、ブッシュは実行に移した。
ウイルスは核施設の内部破壊に成功。
稼動しなくなり、イランは原因究明にやっきなった。
そしてブッシュから作戦を引きついたオバマは
イスラエルがイランを空爆すれば、
関係諸国が巻き込まれることをブッシュよりを恐れたという。
そこで、このサイバー作戦を強化した。
ところが2010年に予期せぬ事態になる。
本来目標核施設の内部にとどまるように設計されていたウイルスが
外部に逃げたのだ。原因はアメリカの承諾なしに、
イスラエルがウイルスのコードを書き換えたからだった。(米国はそう判断した)
パネッタから緊急報告を受けたオバマとバイデンは、
イスラエルに対し、烈火のごとく激昂したという。
そしてウイルスがベルラーシで発見されると、
ロシアと米国のセキュリテイー会社はそのオリジナルを追跡。
(カスペルスキー社とシマンテック社)
最終的には、なんと米国とイスラエルが関わっていることを突き止めた。
NYTIEMSがソレをすっぱ抜ぬき、
記事を読んだオバマは今度は内部リークに激昂。
あの穏健なオバマが、NSAの職員全員を嘘発見器にかけ、
最終的には、作戦の責任者の一人、カートライト副参謀長をクビした。
更に禁固刑まで課した。
当初イランは施設が壊れた理由がわからなかった。
(アフマネネジャド大統領は担当者二人をクビにした)
だがイスラエルと米国のサイバーテロであるこを確信すると、すかさず報復に出た。
サイバー兵士を募り、2013年にはサウジのアラムコの石油施設と米国の銀行に
サイバー攻撃を仕掛けた。
自国の科学者を殺された上、研究施設を破壊されたのだから
イランの怒りは本物だ。現在ではイランは自国内に世界最大クラスの
サイバーウイルス研究所を持っている。
このイランを相手に、弱腰とさんざん批判されながら
オバマ政権はなんとか歴史的な核開発合意に至った。
しかしイスラエルのオバマへの反発は激しく、
呼応するように、ヒラリーやジェブブッシュからの批判も高まった。
今この状態をひきついたのがトランプ政権。
結果が以下の添付の記事
https://www.theatlantic.com/magazine/archive/2017/05/the-brilliant-incoherence-of-trumps-foreign-policy/521430/?utm_source=atltw
シリアへの空爆などは序の口である。
そんななかで、本日は嫌なニュースが飛び込んできた。
あのアフマネネジャドが、大統領選挙に再び挑戦するというのだ。
万が一にも彼が大統領になれば、金生恩が消えても
4thターニングの景色は何も変わらない。
https://www.bloomberg.com/politics/articles/2017-04-12/ahmadinejad-stirs-up-iran-presidential-race-with-surprise-bid?cmpid=socialflow-twitter-business&utm_content=business&utm_campaign=socialflow-organic&utm_source=twitter&utm_medium=social
Stuxnetウイルスを生み出したオペレーション” オリンピックゲーム”は
イランの特定の各施設をターゲットにした局所的作戦だったが、
米国はイラン以外の仮想敵国もふくめた「綜合的サイバー攻撃」
コードネーム「ナイトロ・ゼウス」を既に構築しているという。
添付のドキュメンタリー映画「Zero days]は、
最後、”オリンピックゲーム”や”ナイトロゼウス”に関わった人々が、
勇気を持ってインタビューに答えたことを称えている。
彼らは自分たちが生み出した物を恐れているが、
ドキュメンタリーの公開が米国ではななくドイツだったこと、
そして公開がオバマ政権末期を狙ったことは、(オバマは何も出来ない)
このドキュメンタリーの価値をものがたっている。
いずれにしても。ナイトロゼウスは
発動すれば、敵国の心臓部を瞬時に停止させる事が可能だという。
だが、後から米国が報復される可能性が高まる。
つまり核の応酬と同じリスク。
トランプは、「ナイトロゼウス」をどう使うのだろう。
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