マッキンリー
ジェニングス
そろそろ終わりが近づいているNHKのクローズアップ現代。大統領選を取り上げた昨日、国谷さんが「当初それぞれの政党では泡沫候補と観られていたトランプ氏とサンダース氏が・」という表現をした。
まずこの大統領選の最大のポイントは、この二人が既存の政党には属していない事。予備選を共和党と民主党で戦っているが、本来二人は独立している。日本のジャーナリズムでは貴重な国谷さん。本当はそこを強調してほしかった。
つまり、万が一にも二大政党に属していない二人が、それぞれ代表になったら一体アメリカはどうなってしまうのか。そこが本質。でも驚く必要はない。過去も似たようなことはあった。
1896年、本来は仲が悪かったロックフェラー カーネギー JPモルガンの三人が結託し、共和党のマッキンリーを担いだ。
一方民主党では、貧富の差が激しくなり、庶民に社会主義の旋風を巻き起こしていたジェニングスが、本流の東海岸の民主党候補を破った。
結果はマッキンリーの勝利。(前述の3巨星は、現在の金で30億円を出したといわれる)ところがマッキンリーは、二期目の途中でJPモルガンが潰した会社の工員に暗殺されしまった。
そして副大統領だったセオドア・ルーズベルトが大統領になると、もともと共和党でありながら、リベラルで進歩的だったルーズベルトは、ロックフェラーのスタンダードオイルを解体した・・
そもそもマッキンリーは、庶民に人気があったルーズベルトが、共和党の大統領候補になってしまうのを恐れ、前述の米国資本主義の3人が操り人形として打ち立てた候補者。(ジェブがいない今ならルビオやケーシックが近い?)
それが弱者の恨みで殺されると、ルーズベルトはここぞとばかりに巨大資本を解体してしまった。まあ天の思し召しとはこういうものだろう。
このあと民主党はウイルソンの時代へ。共和党では、主流派が、いわゆる東部重商主義者(ホイグ)から、ジェファソンージャクソニアンの旧南軍型へ・・だから1896年と現在では二大政党の勢力地図がほとんど真逆になっている・・。
1896年 マッキンリー(赤)とジェニングス(青)の結果
2012年 オバマ(青)とロムニー(赤)の結果
1986年と現在ではNY PAなどの東部イスタブリッシュ系の州と、TXからCAまでの西海岸の人口勢力は逆転している。これはすなわち政治力の変化だ。にもかかわらず、ほとんどの日本のメディアのアメリカの政治経済ニュースは、相変わらずNYとワシントンの上っ面情報のみ。
だからいまだにオバマ政権の母体の民主党を与党と呼び、今年中にも共和党から改革案が出され、NY連銀の地位変更とFOMCでの政策決定過程が変わる可能性があるFEDにおいて、アメリカの中央銀行はFRB・・などと、事実と異なる報道がそのままだ。
日本人ならアメリカについて知らないことがあるのは当然。しかし元々仕組みが違う国なのに、仕組みの違いをよく解説せず、解りやすさのために日本人のフォーマットで報道すると誤解を招く。さらにソレを放置するのは何の国益にもならないと思う。(アメリカは日本の誤解をわざわざ直してくれない)
いずれにしても、アメリカの変化を自分で冷静に観察し、今後の変化の可能性を自分たちの頭で準備している世界の国々と、今頃びっくりしている日本の差は大きい。ソレが回りまわって、株価に反映されなければよいが・・
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