ゴゴジャンTakizawa レター

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ビックピクチャーとマーケットのメカニズムは車の両輪

2018年6月6日水曜日

CIAが考える日本の敗因 (レター抜粋)

               チェスターニミッツ提督

ところで、米朝会議へ臨むトランプ政権のスタンスに対し、
一部の日本人には「裏切られた」という感覚があるという。
そこで、本日6月5日は、日本には極めて重要な記念日であることを指摘しておきたい。
76年前の6月5日、日本はミッドウエイ海戦でアメリカに大敗北を喫した。

日本は13世紀後半、鎌倉幕府が世界最強のモンゴルを博多で防ぎ、
明治維新後、日本海海戦でバルチック艦隊を打ち破り、
そしてアメリカを相手に、真珠湾の奇襲も成功した。
しかしこの輝かしい日本の神話は76年前の本日を持って終了した。 

ミッドウエイの戦い詳細は省く。
以下の日本語ウイキペデイアには、
異常なまでの戦いの詳細が書かれているが、
あまりにも詳細すぎて要点がはっきりしない。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC%E6%B5%B7%E6%88%A6

だが今日に至るまで、日本は敗北の要因として
レーダー網や暗号解析の分析力など、
先端技術でアメリカに劣っていたという解説をしている。
しかし米国の分析はその本質面で違う。

CIAのレポートは、当時テクノロジーでは、
アメリカは日本より優位だったことは認めている。
しかしミッドウエイ海戦の勝敗の最大の要因は、
戦力の優劣ではなく、直言すれば、
予想以上に、「日本はバカ正直だった」という単純な見方。

https://www.cia.gov/library/center-for-the-study-of-intelligence/csi-publications/csi-studies/studies/vol50no2/html_files/Intelligence_War_2.htm

そもそもインテリジェンスは以下の3部からなっていると考える。

1)情報を収拾する力 
2)情報を分析する力 
3)情報を展開する力

当時の日本海軍は、1)と2)は重視した様子。
しかし大和魂の精神に合わない?3)において、
アメリカの仕掛けた罠を見抜けなかったという印象はぬぐえない。

真珠湾奇襲成功後、戦力で日本海軍に劣る状況になった米海軍では
山本五十六長官の次のターゲットが何処になるか、
インテリジェンスの限りを尽くして探った。(以下はCIAのレポートから)
ニミッツ提督は山本長官の次の作戦はオアフ島だと考えたという。
しかし確信に至らず、現在のNSAに当たるインテリジェンス機関
の"罠"の提言を受け入れた。

罠とは、ミッドウエイの海軍基地の生水が足りなくなり、
本部に向けて生水補給要請のSOSを暗号なしで発信すること、
もし日本が傍受すれば、米軍を待ち伏せするために
日本艦隊はミッドウエイにやってくる可能性がある。
米海軍は、待ち伏せするため早めにやってきた
日本艦隊を待ち伏せるという作戦。

連合艦隊は元々ミッドウエーをターゲットにしていたが
攻撃の日時など決定では、アメリカの罠に落ちたことは否めない。
アメリカ側の単純な結論は「待ち伏せ」の「待ち伏せ」は成功した。

そこから先の結果は、膨大な日本語版WIKIの執念の解説を信じるとしても
日本人としては受け入れがたいものだ。
だが加えて残念なのは、CIAの分析に、、
米国は、日本がこんな単純な罠に嵌るとは考えていなかったとの表記があること。
レポートは「なぜ日本は米国が本当の情報を英語のまま流すことに疑問をもたなかったのか」と
結んでいる。

個人的にはこのCIAの素朴な疑問に答えがある。
山本五十六長官はポーカーをなど賭け事を好んだという。
加えて、米国に駐在した二年間で米国を学んでいる。
個人的な答えはそこに罠までの芽があったという感覚。

これは現在にも通じる事実だが、数年アメリカに駐在しただけで、
自分はアメリカを知っていると考える日本人の錯覚。

さらにそもそも日本海軍は英国海軍から多くを学んでいる。
山本長官の日本が一年ぐらい頑張れば、戦争が嫌いで陽気なアメリカ人は、
適当なところで講和に乗ってくるとの分析は間違いだった。

そして長官自身の最後となる無謀な移動。
当時米軍にも上級将校をだまし討ちしないノブレス感があったという。
しかし山本長官機を待ち伏せし、撃墜したのはその例外となった。

以前ブログでアムンゼンとスコットの違いを書いたとき
アメリカのエリート大学でのアムンゼンの成功に関する資料の多さに驚いた。
一方英国将校としての矜持が裏目となり、
南極で死んだスコットに対する評価は殆どゼロだった。

トランプと金正恩の米朝会談がどう転ぼうとも、
アメリカの東アジアと世界での対中戦略での
想定的で客観的な利益判断は変わらないだろう。

<参考:犬を喰らう覚悟>




http://marukano-gb.blogspot.com/2013/02/blog-post_16.html