ゴゴジャンTakizawa レター

ゴゴジャンTakizawa レター
ビックピクチャーとマーケットのメカニズムは車の両輪

2017年12月28日木曜日

陸王 ネアンデルタール人のマラソン戦略


            この姿で生き残れるならダーウインの進化論は間違い



クリスマスで時間が余ったので、TVJAPANで「陸王」を見た。
池井戸氏のドラマは確かにおもしろい。
日本では圧倒的存在の銀行を悪者に描き、
弱者の心を掴んでいる。

ただ以前に見た「ルーズベルト」云々も然り、
原作を読んでいないので脚本家の仕事かもしれないが、
この人のドラマは肝となる比喩に違和感。

「陸王」では、ネアンデルタール人が滅び、
ホモサピエンスが生きの残ったのは、
理想的な走り方を学んだ後者が、長距離を走れるようになり、
獲物を捕れたからという解説だった。
まさにランニングシューズのドラマのナラテイブ。

この点についての科学的定説の中で、
個人的に最も納得できるのは、体力的に優れた前者は孤立を好み、
体力が劣る後者は、社会を構築したという説。

腕力に優れても孤立しては最後は死滅する。
ただ生き残ったホモサピエンスも集団社会で喧嘩を始めた。
そのピークが第二次世界大戦だったとして、
そのあとの冷戦に勝利した米国が、
グローバリゼーションで穏健に世界を支配しようとしたのは、
ネアンデルタールに勝利したホモサピエンスの
最終完成形への挑戦だったかもしれない。

ところが、トランプ政権は、
冷戦時代までの仲間を痛めつけても、
自分の体力を増強し、あえて孤立する
ネアンデルタール人へ戻ろうとしている。

リベラルはトランプをクレージーとして決め付けるが、
トランプの戦略の本質は「陸王」のドラマ中に垣間見れた。

シリーズ中盤、陸王を履いたランナーが、一度トップに立った後、
あえて後方に下がるシーンがあった。
これがまさに今のトランプの戦略そのものだろう。

集団を従えトップを走り続ければアメリカとて疲弊する。
ブッシュがやったイラク戦争は総コストは5兆ドルだった。
バノンはこのままではアメリカはローマ帝国の二の舞となると考えた。

ならば一旦は集団の先頭を中国に譲っても、結果的にそれで中国が体力を消耗し、
中国の限界を悟った集団がバラけるころ、満を持して再び先頭に立つ。
無理をした中国は脱落するかもしれない。

ただ集団を引っ張ったアメリカが後方に下がると二番手集団は戸惑う。
アメリカは覇権の利益を捨てたわけではないが、
戦後、負担してきた政治コスト(ノブレスオブリジー)に
トランプたちビジネスマンは価値を感じない。

更に言えば、リベラルに己の限界を悟らせる効果がある。
リベラル勢力の中心のミレニアル世代は冷戦終了後しかしらない。
緩やかな秩序の中、自分本位の自由は生まれながらの権利。
こういう世界では国家の存在に感謝する機会は減る。

ならリベラル勢に思いのままリベラルをやらせてみるのもいい。
誰にも脅かされない自分本位の自由世界がこの世に存在できるかどうか。
草食動物だけでは草食動物は死滅する保守派の原則。(トランプ本人はこの限りではない)

いずれにしても、現実社会のマラソンドラマは、
道具(シューズ)改良や人間の努力より、
マネーの量というオピオイド効果で持続している状態。
最早薬なしで人類はどこまで走れるかわからない。


2017年12月9日土曜日

デカルトとパスカルの戦い,間を先取るトランプ 






rom: Osafumi Takizawa
Sent: Friday, December 08, 2017 10:06 AM
Subject: Takizawaレター < デカルトとパスカルの戦い、,間を先取るトランプ >
水曜日にシャットダウンの可能性は殆どなくなり、
逆に上下両院の減税案妥協が予想以上に難儀する状況に変わっていた。
そのあたりの政治をよく見ている債券市場は大人しい。
一方株先は案の定の乱高下。ダウチャートまだ好転していないが、
週末からCMEで先物が始まるビトコインから、ダウへ資金が流れる可能性が高い。
  
さて、トランプの選挙公約と/現状を比較してみた。(金融市場に影響があるものに限定)

1)中国の為替操作国の認定/実行せず。
2)株高はイエレンのヒラリー応援のバブル/株高は自分への正当な評価。
3)貿易赤字縮小/赤字幅拡大
4)長期債発行拡大/短気債発行の拡大(財務省政策発表)
5)移民コントロール/12月4日最高裁はトランプ政権の政策を批准(主要メディアは一切報道せず)
6)アマゾンの独禁法違反認定/アマゾンの独禁法違反の調査の意欲を示す

自分が原因のエルサレム首都宣言の喧騒をよそに、
昨日トランプは、アマゾンへ政治的に手をつけることを示唆した。
強硬派イスラエル人を喜ばすのと同じく、
より雇用を生み出す旧来型リテールの宿敵を口撃することで、
2020年へ向けて弾みをつけたいところ。(雇用創出のために頑張る自分を演出)
ただしもちろん狙い発表効果だけ。(エルサレム宣言も同じ)
もし本気でアマゾンを痛めつければ、
自画自賛の株が暴落することは承知している。

ところで、昨日の民主党上院議員のアル・フランケン氏の辞任会見、
最後、"自分は潔く辞めるのだから、大統領、あなたも責任を取りなさい” と結んだ。

辞任のきっかけとなったセクハラは、
彼が上院議員になる前のコメデイアン時代のものだ。
普通に考えれば、これで責任を取るのは可哀想。
だが民主党は仲間を犠牲にした。

まるで新撰組の強制切腹だが、(或いは相撲協会と横綱審議会)
狙いは来週火曜日、アラバマで勝利が予想されるロイムーア氏と、
究極的には、選挙戦末期、全く同じセクハラが暴露されたトランプ本人。

トランプを追い込むには「過去のセクハラ」が
「今の処罰」の対象になる世論を形勢をするしかない。
コーク兄弟に買われる前のTIME誌も応援している。(今年の顔)

ただ、個人的には、クリントン大統領時代に生まれたリムジン系民主党は、
ここまで経済格差が拡大したにもかかわらず、
完全に戦う武器を見失っている状態に見える。

まさに経済で自分たちがすべきリベラル政策(金融緩和)で、
第二次安倍政権に先を越されてしまった旧民主党と同じ。
彼らに残されたのは、過剰なコレクトネスへの傾斜。

前日のレターで1973年の最高裁判決から、(Roe v. Wade)
民主党は、それまで ウイルソン FDR ケネディー ジョンソンとつないだ
経済貧困者救済の党是を変更、人権(女性とマイノリテイーの権利)と
ポリテイカルコレクトネスに移したことを紹介した。

カーターとデュカキスはそれで大統領選を戦ったが、
然程良い結果にはならず、(カーターは一期だけ、 デュカキスはパパブッシュに敗北)
テーマを経済政策に戻したのはビルクリントンだった。

ただ冷戦に勝ったことによるクリントンのグローバリゼーションは、
主に都会のサービス業を潤したのみ。平和的アメリカの一国支配が固まる中
主要メディアとリベラルエリートは、更に人権とコレクトネスへ舵を切った。

この時代に大人になった都会のミレニアル。彼らはそのまま民主党支持者になったが、
人権やポリテイテイチカルコレクトネスを言う余裕のない取り残された白人労働者は
民主党を離れた。特にリーマンショック後の回復で、ますます地方は取り残された。

これがバノンが高笑いしている実情だが、
理想を掲げ、その実現に向けて努力することが正しいと考えるリベラルエリートと、
一方人間の能力の限界を知り、自然の摂理に逆らわない保守の原則は、
まさにデカルトとパスカルの違いを感じさせる。

そして政治的にこの二つのイデオロギー両方を利用したのがニクソンだった。
だが彼は「良いとこ取り」に反感をもった仲間の共和党の離反を食い止められず、
最後は後のアメリカへ貢献を考えれば取るにたらない小さなミスで失脚した。

トランプの取り巻きはニクソンの失敗を研究している。
今のところ常に先手を打っている。

2017年11月3日金曜日

ケネデイから学ぶトランプ

            全てにおいて前例のないトランプを前例で考える主要メディア       



From: Osafumi Takizawa
Sent: Friday, October 27, 2017 3:17 PM
To: Osafumi Takizawa
Subject: Takizawaレター <トランプの妥協はJFKからの教訓>

希望の党に移った旧民進議員の小池さんへ恨み。
今の国会議員の器量の小ささが出ているとする意見。
ご指摘の通りだが、激動の時代と冷戦後の低ボラ時代の政治家が
そもそも同じレベルであるはずがない。

全ては時代の流れ。結果として混乱が待っていて、
骨太の時代がまた始まる。維新から150年目の来年、
大河ドラマは西郷隆盛。NHKニュースは貧弱だが
ドラマのテーマを選ぶ相場観はその辺りのアナリストより上。

そういえば話題になったモリ・カケ騒動。
今の政治の伏魔殿がこの程度のレベルなら、
ケネデイ暗殺の壮大なプロットは、
平和な日本人の想像を絶するもの。

ここでは事実と憶測を区別しながら整理してみたい。

まず誰がJFKを殺したか。
一般的にはマフィア、CIA FBI連合に
軍産複合体とリンドンジョンソンの存在が言われる。
でも個人的な究極の結論は、希代の父、
ジョー・ケネディー・シニアの野望の結末だと考える。

彼のヒストリーは息子のJFKよりも壮大。
書き始めると膨大になるので省くが、
出世の過程では悪とも手を組んだ父親に対し、
JFKと弟のロバートは、軍産複合体とマフィアとの関係で
父親のレベルまでは至らなかった。
特に司法長官の弟ロバートの潔癖さは、
兄のJFKにとっては致命傷になった感。

ロバートは、父親やフランクリンルーズベルト、
更にFBIのフーバーらが結託し、
マフィアに米軍のイタリア侵攻を手助けさせた頃からの暗黙のルールを破った。
そして司法長官として、マフィア撲滅へ突き進んだ。
これは、父親が大統領選挙でニクソンを破るために取引したとされる
マフィアを裏切ることになった。
http://www.businessinsider.com/frank-sinatra-the-kennedys-and-the-chicago-mob-2013-11

そこにCIAがマフィアを使ってカストロ暗殺を企てたが失敗。
CIAの行き過ぎを懸念したJFKはCIAの解体を画策。さらに
キューバ危機を経てソ連と軍縮で妥協したことで
ソ連との軍拡とベトナムでの本格戦争を望む軍産複合体を敵にした。

このように、ケネディー兄弟は、
現在のワシントンのDT(Deep Throat)につながる国家の中枢機関を敵にしていった。
ここは、父親の時代の暗部を知る息子たちの反発だったとみている。

そして究極はリンドン・ジョンソン。
そもそもジョンソンは上院議員として
南北戦争以来の南軍の価値観とその後のブルボン民主党を代表した人物。
つまり人権を掲げたJFKとは水と油だった。
JFKがジョンソンを選挙でパートナーにしたのは
南部のプロテスタント票のための妥協にすぎない。

と、ここまでは良く知られた「事実」だが、
ここからがジョンソン黒幕説(陰謀論)の詳細。

そもそも個人的にジョンソンは暗殺計画の存在は知っていたが
直接は関わっていないと考えるが、
JFKが暗殺された週のTIME誌の表紙には
ジョンソンの顔が用意されていた。

理由はジョンソンが上院議員だった頃の汚職と
マフィアなどの犯罪組織とのかかわり。
副大統領のジョンソンには以下の二点の件で弾劾の可能性が高まっていた。

1)主席補佐官 ボビーベイカーの汚職
2)オースチンの自分の会社、LBジョンソン社の不正

表向き、JFKは二期目もジョンソンを副大統領するとした。
だが実際には後任の選別に入ったいたという。

そして議会でジョンソンが弾劾された場合、盟友のFBIのフーバーも
過去のマフィアとの関係が炙り出されることを恐れた。( ロバート・キャロー氏)
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Years_of_Lyndon_Johnson

暗殺事件そのものは、弾丸の角度や音から、
犯人の複数犯は疑いようのない事実。
そして、最終的にオズワルドを単独実行犯と決めた調査委員会は、(ウオーレン委員会)
大統領になったジョンソンが任命したものだが、そこには元CIA長官のダレス氏が入り
委員会で使われた資料は、「当事者」の可能性が高い
FBIとCIAが提出したもの。(このダレスは国務長官だったダレスの弟)

更に犯人とされたオズワルドを証言前に殺したジャックルビー。
彼の背後にはこれまでFBIとマフィアが関係が噂されてきたが、
今回の情報公開ではその部分は不明のままである。

いずれにしても、ジョンソンはJFK暗殺後に
それまでのポリシーを一変させている。
JFKの意思を引き継ぎ、黒人参政権を掲げ(公民権法)
キング牧師の協力を取り付け再選に成功した。
そして立て続けにと貧困者と老人医療制度(medicare medicade)を達成した。

JFK以降、ジョンソンの変節にともない、民主党は、
ジェファーソン>ジャクソン>南軍>クリーブランド>ウイルソン>FDR>トルーマンまでの
価値観が変化(ここから選挙区の勢力図が現在の色分けになる)
民主党は都会の弱者や有色人種のための党へ移行した。(トルーマンまでは多くがKKKを容認)

そのジョンソンンに感化されたのがヒラリーだ。
ヒラリーはジョンソン大統領の政策に感化され、
高校時代までの共和党のマスコットガールから民主党へ傾斜。
有名女子大学からイエールを経て
アメリカ初の女性大統領候補へ変貌した。

最後に、民主党を変えたJFK同様に、
これまでの共和党を新しい(ALT)共和党へ変えるかもしれないトランプ。
彼は、JFK同様に、今のDT(Deep Throat)を敵にしている。

ただ今回の情報公開でCIAと妥協したなら、
トランプはケネディーの教訓を学んでいるということ。
ならば、金融市場に直結する、FED議長の任命、北朝鮮、イラン 対中国などで、
再選まではトランプは妥協を続けるということだろう。

What Is Really Unprecedented About Trump?

https://www.theatlantic.com/politics/archive/2017/10/what-is-really-unprecedented-about-trump/544179/?utm_source=feed

2017年10月24日火曜日

金融ユーフォリアと選挙

http://fx-on.com/navi/detail/?id=3311&tw

先週のIMFでも結局目立った対立構図はなかった。
せっかく世界がユーフォリア気味になっているのに、
それぞれが国内に課題を抱えている中、指導者は
あえて冷や水をかけることは避けたのだろう。

先進国が絡む国際情勢の対立は、
まだプロレス的なパフォーマンスと、
本当に危険なものを選別する必要がある。

金融市場が国際情勢を無視できるのは、
金融市場が「リスク知らず」へ変化した面と(AIと若者)、
金融市場が薄々「茶番の真実」を感じている両面だろう。

中東ではクルド関連がもっともリスク。
だが何かが起きても関連するのはせいぜいオイル程度。
オイルは余っている。

そんななか、今朝CNBCのインタビューに答えたプリンス・アルワリード。
彼の態度から、サウジはアラムコを片付けることが最優先。
カタールやイランと本気で対峙する覚悟は感じない。

一方北朝鮮は今のプロレスが本気になるのは、
アメリカに届く長距離弾道を成功させること。
当然海外の金正恩の取り巻きは、ソレをやったら終わりだと
アドバイスをしているはず。

金正恩がバカでない限り、アドバイスを受け入れるはず。
だがゲームの理論でギリギリまで地下核実験を繰り返すのは危険。
なぜなら、中国は北朝鮮の核実験による自然災害にもそろそろ黙っていない。
(これ以上やったら山が崩れて放射能漏れが中国へ波及するとするWPの記事)、
https://www.axios.com/a-new-north-korea-problem-2499394416.html

そんななか、今日のBBCは、
安倍さんの選挙勝利は敵失とする一方、
現状TOOTHELESS TIGERの自衛隊と今の北とのパイプでは、
安倍さんの「この国を守り抜く」の意味がわからないとしている。
http://www.bbc.com/news/world-asia-41717219

日本が本気で自衛隊で自衛するなら、
選挙後に直ぐにも憲法改正に着手すべき。
自民党は公約でも其処を強調した。
だが選挙に勝っても安倍さんと自民にその気配はなし。
これも予想通り、、

もしもの有事に日本は安保法制で対応するとして、
米軍は基本単独で全ての敵に対応する能力が前提。
トランプの来日は、貿易で、
日本から譲歩を引き出すことが主題なのは自明だ。

いずれにしても、世界は真の危機までは、
もう少し時間があるのだろう。

その間に相場をデレイルさせるリスクは、
国際情勢の外部要因ではなく、内部要因ということになる。

内部要因としては、AIのフラッシュクラッシュ、
強引な利上げによるフラット化などが有力。



2017年10月14日土曜日

選挙に関係なく、安倍さんの時代が終わると考える理由




日本は重要な選挙を控え、世界は今週は今年最大の国際情勢の山場?。そこで特別号として、今週の有料レターを抜粋。ただし一般読者向けの確認として、以下は可能な限り正確な情報をもとした推論であり、事実を保証するものではない。



From: Osafumi Takizawa
Sent: Thursday, October 12, 2017 12:28 PM
Subject: FW: Takizawa レター<選挙結果に関係なく安倍さんの命運が尽きていると考える理由>

サッカー・ラグビーの英国スポーツと
米国の4大スポーツは明らかに本質が違うが、(模擬戦争と見世物)
世界でアメリカ発祥のプロレスが根付いているのは日本とメキシコだけだ。

そんな中、今日の9時のNHKニュースでは、
冒頭から5分以上もトランプの悪行をやっていた。
なぜ今更日本の9時のニュースでトランプの悪行をやるのか。

恐らく、新聞各社で自民党優位が言われ、
世界のリベラルの影響下にあるTV局は、
安倍自民党を勝たせすぎないように、調整に出ているのだろう。

安倍さんが優位の最大の理由が北朝鮮として、
その「プロレス解説」は、安倍さんはトランプとタッグを組み、
悪役の金正恩をやっつけるというストーリー。
こんな単純なストーリーを信じるのはネトウヨだけにしてほしいが、
高度成長期、平和主義の日本国民はそのプロレスに熱中した。

ここでは、日本がアメリカの属国である以上、
安倍さんの命運はアメリカの描くシナリオ次第という立場。
よって現状の北朝鮮と世界情勢、さらに米国内の勢力図から、
仮に自民党が選挙に勝っても、安倍さんの命運は既に終わっていると思う。

理由は、北朝鮮について米中関係は煮詰まってきており、
金正恩を取り除くシナリオでは、党大会後の中国が中心になると考えるからだ。

まず中国はこの党大会で、2021年の共産党誕生100周年に向けて動き出す。
( こちらの有力情報と比較し、習近平個人の野望説の日本の解説は貧弱)
2021年の時点で、アジアにおける対米"カウンターインターベンション"を完了し
GDPでそこそそ米国に並んでいれば、それを達成した習近平は毛沢東と並ぶ。

さらにその先の5年でGDPでアメリカを抜いた時点で、
習近平は毛沢東を超え、4000年の中華思想の体現者になる。
ならその重要な期間を、西洋かぶれの「小僧」に邪魔されるのは困る。

金正恩の本当は、中国が大嫌いで西欧とアメリカが大好きな若者。
それを知る欧米の穏健派は、朝鮮半島での紛争阻止で団結している。
鍵となるネオコンをイランに注力させることで、
北朝鮮とイランが同時に進行する世界大戦は避けられる。

現状アメリカの75%はこの二つのシナリオに収斂される。
逆に言うと、安倍さんが言うとプロレスシナリオの危機、
1)アメリカが北朝鮮を先制攻撃する。
2)イランと同時の第三次世界大戦になる、、危機は、
せいぜいアメリカの勢力図の25%しか想定していない。

25%はという数字は戦後の平和ボケの日本には大きな確率だが、
その日本の平和ボケは、誰あろう自民党政治の結果である。

トランプが最後どちらのシナリオに便乗するかは未定。
だが、どちらにせよ、トランプが米中関係を超えて、
安倍さんとの関係を尊重することはない。
そんなことは、トランプが模倣するニクソン時代を
思い出せば明らかだ。そしてトランプが除外された場合、
国連演説で世界のリベラルを敵にした安倍さんに
旧G5のからの仲間はいない。(強いて言えばメイ首相ぐらいか)

最後にその「トランプの除外」について。
在任中バノンは、トランプが4年間大統領でいられるかにおいて、
ニクソンの時のような弾劾より、憲法修正条項25条4項を警戒していた。

修正条項25条は年初来ここでずっと触れたきたが、
反トランプ陣営は、衝撃のヒラリー敗北から、ずっと、
この条項の発動への策略を継続している。

この条項では、閣僚の可半数と副大統領のペンスが、何らかの理由でトランプが、
職務追行能力を失ったと議会に提案すれば、トランプは失職する。
(トランプは議会に復職を願い出ることは可能)
本来暗殺などの事態を想定したのが25条だが、
4項には病気や精神異常などの項目が含まれる。

だからこそ反トランプの主要メディアは、
ことあるごとにトランプの精神異常を掻き立た。
一方で今は北朝鮮やイランなどの核の脅威を煽りながら、
抱き合わせで、裏ではトランプが任命した閣僚の半分から、
トランプの政策実行能力への懸念を引き出すように仕向けている。

そんな中、トランプがケリーを国土安全省長官からWHに横滑りさせたのは、
ニクソンに引導を渡したヘイグ長官の再現を狙う敵の策略を知った上で、
修正条項25条の適用ではキーパーソンになるケリーを閣僚から外した安全策。

何度も言うように、バノンとトランプは刎頚の友ではない。
バノンは2018年の中間選挙でトランプを裏切りそうな共和党の古株に対し
予備選で対抗馬を立てた。一見トランプの後方支援をしながら
実はトランプにプレッシャーを加えている。
(バノンは9月に香港で習近平の側近中の側近の王岐山と秘密会談)

いずれにしても、アメリカでは既に中間選挙の戦いが始まっている。
過去のアメリカは、国内の戦い(選挙)のために、
外での侵略戦争を厭わなかった国。巻き込まれた世界。
だが世界はそのアメリカの横暴に振り回されなくなってきている。

その象徴が今週のIMFや中国共産党大会。
そんな中で、アメリカへいまも忠誠心を示しているのは
ざっと見て、安倍自民党と、そのプロレス解説を信じる日本国民だけ、、

rom: Osafumi Takizawa
Sent: Wednesday, October 11, 2017 12:43 PM
To: Osafumi TakizawaSubject: Takizawa レター <男らしさのない駆け引きの結末>
From: Osafumi Takizawa
Sent: Tuesday, October 10, 2017 10:54 AM


2016年の調査で、平均的アメリカ人男性(30代~40代)の握力は
1985年の同調査と比較し20%も落ちているという。
同じ下落幅なのが代表的男性ホルモンのテスタステロンの量。
こちらも減少している。

男性ホルモンは、ニコチン摂取の低下とも連動しているらしいが
男性ホルモンが落ちた?今の若い男達の間で顎鬚がブームなのは
見せ掛けだけでも男らしいさを演出したい防衛本能ではないか。

https://www.forbes.com/forbes/welcome/?toURL=https://www.forbes.com/sites/neilhowe/2017/10/02/youre-not-the-man-your-father-was/&refURL=https://t.co/OGyBN1yVlb&referrer=https://t.co/OGyBN1yVlb#1480d94e8b7f

その矛盾が出たのは、アメリカのワールドカップサッカー予選。
アメリカの若者がリベラル化し、NFLの視聴率が落ちる一方、
サッカーを観る人は増えた。にもかかわらず米国代表チームは弱体化。
ワールドカップ予選を勝ち抜けなかったのは、リベラル化の矛盾が現れていると思う。

同じように、リベラル勢力は日々トランプを追い詰めているが。
まだ完全には追い詰めることは出来ていない。むしろ運はトランプに味方。
アメリカを襲うハリケーンと山火事。史上最悪という表現も、
政治上は苦境のトランプには神風の効果。
ただ個人的には、科学者がUPDATEしたイエローストーンの大噴火の時期は看過できない。
本来数千年の一度の頻度のはずだが、向こう数十年で必ず起こるだろうという予想。

http://www.ibtimes.co.uk/yellowstone-supervolcano-could-erupt-much-more-quickly-previously-thought-1642708

いずれにしても、早晩自然災害がインフレをおこしたとき、
時代遅れのフィリップスカーブでインフレを起そうとしたこの人たちの命運がどうなるか。
https://www.ft.com/content/333b3406-acd5-11e7-beba-5521c713abf4
そしてインフレを知らないまま、無重力の(落ちる恐怖心が欠落)
銀河鉄道のジャーニーを楽しむ相場はどうなるか。
それを見極めるまでは、「日ばかり」が基本。

外部要因として、プロの運用者は「今年の仕上げ」の時期に入っている。
ビギナーズラックの新人も、或いは年初は弱気でやられ
遅れてロングにしたヘッジファンドも今はプラスに追いついた。
そこで11月末までの最後の勝負材料は、出遅れ感のある日本。
100兆円ファンドの日本に強気のコメントが出る中、
CNBCでは「選挙はABEの勝利」と言う気の早いコメントもあった。

https://eblnews.com/video/1-trillion-money-manager-shares-key-us-growth-226314

そんななかで、最重要なイランと北朝鮮の問題は以下の3つの記事がよい。
まず米朝の具体的なパイプがどうなっているか。
そしてイラン情勢が北朝鮮を巻き込むと、なぜ第三次世界大戦へ飛躍するのか。
そしてなぜヒラリー系のリベラルがイランとの合意破棄を支持する一方で、
オバマ系のリベラルは合意維持を主張するのか。
それぞれを整理しておく必要がある。

<ヒラリー系のリベラルが、イランとの核合意破棄を主張する理由>
https://www.theatlantic.com/international/archive/2017/10/iran-nuclear-deal-trump-decertification/542520/?utm_source=feed

<オバマ系のリベラルが、イランとの核合意維持を主張する理由>
https://www.theatlantic.com/international/archive/2017/10/iran-nuclear-jcpoa/542517/?utm_source=feed

<リベラルと共和党穏健派が第三次世界大戦を警戒する背景>
https://www.theatlantic.com/international/archive/2017/10/corker-north-korea-trump/542514/?utm_source=feed

最後に、15日のイランとの核合意破棄での注目点は以下。

1)トランプは合意をDecertifyするのか。
2)トランプは合意そのものからの撤退を表明するのか。

1)も2)最終的には上院の判断。(51票)
そして
1)なら、米国は協定に留まるが、他国との協議継続の見直しに入る。
2)なら、米国は英仏独の他国にかかわらず撤退。米国は対イランに対し再び経済封鎖を発動する。

つまり2)なら、米国のお家の北朝鮮を材料にイランへ宣戦布告。

お家芸としたのは、まずルーズベルトは
パールハーバーで事実上は大西洋戦線優先策をとったこと。
日本の攻撃で対ヒトラーを優先したのは、
民主党の母体のユダヤ系への配慮とチャーチルへの強力。
だが究極の目的は翌年の国勢選挙への準備。
だから米軍は直接ドイツを攻めずアフリカへ上陸した。
そして、同じお家芸を使ったのが、アフガンからの攻撃でイラクへ侵攻したブッシュ。

ただし、こんなことを続けていると米国はますます孤立する。
イランとの核合意破棄は英仏独露は反対するはず。
これらの駆け引きは、IMFなどで米国の横暴を世界がどう見るかに直結するだろう。


To: Osafumi Takizawa
Subject: Takizawa レター <金正恩のゲームの理論は一人相撲>

2017年はこれほどAがI市場を席捲しているにもかかわらず、
平均ではいわゆるクオンツ系ヘッジファンドのパフォーマンスは、
インデックスに遠く及ばない。(平均1%弱)
https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-10-09/humans-beat-computers-with-light-street-hedge-fund-gaining-44

添付から想像するに、ボラにせよ、価格にせよ、
最後にリスクをニュートラルにするアルゴでは、
純粋に押し目を拾う膨大なパッシブ系に(インデックス)
巻き込まれてしまうイメージ。

いずれにしても、今の相場では「駆け引き」は負け。
個人的には、80年周期の最後には、(4thターニング)
そういう時期もあると割り切るべきとの考えだが、
一方で国際政治での北朝鮮をめぐる駆け引きは、
どこまでがプロレスかは微妙なタイミングになってきた。

昨日も触れたように、IMFが終わる15日は
トランプはイランとの核合意をひっくり返す可能性が高い。
ここで歴史的には、前回の朝鮮戦争の終わり方が、
現在につながる国防での「ゲームの理論」のスタートであったことは重要だ。

トルーマンから朝鮮戦争をひきついたのはアイゼンハワー政権。
ダレス長官は、(日本ではダレスの恫喝で有名)インドのネールに
極秘裏で米国は中国に原爆を使うことを決断したと告げる。

米国の研究者は、当時の中印関係から、アイゼンハワー政権は
情報が中国へ漏れることをあえて計算していたとする。
なら昨日の米国の情報が北に漏れたというニュースは注目。
米国は韓国から情報が漏れることを想定し、金正恩に強く妥協を促した可能性を感じる。

結局、朝鮮戦争の停戦合意では、
インドから中国に漏れることで毛沢東は和平に合意するとの駆け引きは
結果的に米国の思い通りなった。

しかし朝鮮戦争が停戦になると、
米国はICBMと宇宙開発でソ連に先行された事実に衝撃を受ける。(スプートニクショック)
米国ではミサイルギャップ論争が起こり、その危機感で米国は核弾頭を拡大させた。
その過程でランド研究所でゲームの理論の信奉者だったハーマンカーンが唱えた理論。
敵の先制攻撃を上回る圧倒的な報復力の誇示で、その先制攻撃を抑止するという考え方。
このゲームの理論がクレージーな米ソ軍拡への根底になり、
同じくゲームの理論の研究者のキッシンジャーによって、
ニクソン大統領はマッドマンセオリーを展開。
ニクソンの隠れファンのトランプは、国内外を問わず、
選挙戦から今に至るまで、ずっとゲームの理論を実践している。

このトランプを真に受けているかのような安倍さん。
そしてその安倍外交を褒めちぎっている安倍ポチネトウヨタレント。
彼らの煽動で自民党を応援する日本は、滑稽というよりもむしろ哀れだが
米国が小国北朝鮮相手にこれ以上ソ連と同じゲーム理論に付き合うことはないだろう。

米国が北朝鮮を攻撃する前提条件は、ずっと前からこちらの専門家で一つの共通点。
現在9カ国の核保有国で、米国に届くICBMを持っているのはロシアと中国だけ。
米国が北朝鮮を叩く理由は、日本で一般に言われるそのミサイルが危険だからといより、
北朝鮮のような小国が、米中露の三国志に割り込んでくることを、絶対に許さないからだ。
それは中国もロシアも認識しており、彼らのゲームはその範疇である。

金正恩に情報を渡している在米朝鮮人勢力はそんなことは承知しているはずだが、
もし金正恩の保身が読み違えると(中距離で満足せず、ICBMの実験を成功させる)
その時はまず韓国株が動くはず。一見能天気に上昇を続ける韓国株だが
実はポイントは押さえている可能性が高い。(北朝鮮はここまではプロレスと割り切っている)
しかし米国内にミッドウエー海戦勝利を真っ先に伝えたのが
新聞でもラジオでもなく、NYSEだったように、
本当のリスクでは真っ先に売られるはずだ。

いずれにしても、金正恩の命運は中東情勢次第。
一緒に巻き込まれれば彼も終わり。ベストシナリオでロシアへの亡命か。
ただし、もし米国の矛先をイランにだけに転嫁できれば金正恩の勝ち。
中距離ミサイルと核だけなら許されるなら、
日本は核武装というナラテイブへ。


From: Osafumi Takizawa
Sent: Monday, October 09, 2017 8:08 PM
To: Osafumi Takizawa
Subject: Takizawaレター <ドル覇権終焉までの残り時間>

まず今週は、AIの感応度とは別に
ジオポリテイカルは今年最後の山場を意識。
北朝鮮に加え、イラン問題も結論が出る。

そして注目のIMF。
以下は"メーテル"(ラガード)が、
アメリカの覇権維持において、
プーチンや習近平よりも厄介な存在である証拠。
https://www.wsj.com/articles/forget-bitcoin-have-you-heard-of-imfcoin-1507228382?cx_testId=16&cx_testVariant=cx&cx_artPos=1&cx_tag=contextual&cx_navSource=newsReel#cxrecs_s

歴史の転換という意味でこのIMFは重要。
71年のドルショックで、ブレトンウッズ後のドル基軸崩壊を恐れたニクソン政権。
キッシンジャーはサウジと結託してペトロダラー制度を導入した。
だがそのサウジ国王が先週はロシア訪問。恐らくプーチンと何かを約束した可能性も。
既に中国はサウジと原油決済でペテロダラーの外へ踏み出している。
そこにIMFが加勢する。ドル機軸崩壊へ彼らが動いているのは明白だ。

皮肉だがIMFと世銀の重要性が逆転したのもニクソンの功罪といえる。
ニクソンが変動相場へ移行しなければ、IMFがここまで重要になることはなかったはず。

米国はプレトンウッズで、世銀を自分の管理下にした。
一方で当時は重要性がないと判断したIMFの人事権は欧州へ渡してしまった。
(ケインズとホワイトの取り決め)

スノーデンは、ストラスカーン事件は、自分の言うこと聞かなくなった
IMFの人事を、アメリカが取り返そうとした一端であることを示唆。
しかし後任のラガルドも、アメリカのポチにはならなかった。

英国ポンドからドルへ世界の基軸が移るのは30年かかっている。(1914から1944)
ならドルも時間をかけて地位を譲るはず。だがブロックチェーンなどのテクノロジーは
その時間を想像以上に早める可能性がある。そのあたりを米国がどうするか。
最終的には、其れがビトコインの命運を決めるのではないか。

そんななか、トランプは15日までにイランと核合意に関し、
イランが遵守しているかどうかの判断を示す。

もしトランプがイランの非遵守を宣言した場合、(その可能性は99%)
議会(上院)は条約としての合意の存続について60日以内に決定する。
もし議会もトランプの判断に同意すると、事実上米国は条約を脱退することになる。

そこからは、ゆっくりと、イランの核施設を空爆するかの話題へ。
そこにカタールとサウジの状況も絡みながら、北朝鮮の運命も絞られてくる。

イランと一緒に北朝鮮も叩くか。今のところその可能性は25%だろう。
反対75%の内訳は、絶対阻止のリベラル50%と共和党穏健派の25%。
その共和党の代表格が、トランプは第三次世界大戦を引き起こす、
と警告したボブコーカー。

北朝鮮でこのアメリカを頼り切っている日本の国防。
日本の国防論は、自民党はそのままアメリカの属国を続ける国亡。
左翼は中国の属国へ移行する国亡。

2017年8月30日水曜日

大いなる幻影



「大いなる幻影」非常に評価が高い1937年のフランスの反戦映画。(個人的には未鑑賞)
映画の原作は1909年にノーマンエンジェルが書いたThe Great Illusion。こちらは今
WEBで読み始めたところだが、映画と本では内容は異なるようだ。

映画は第一世界大戦の悲惨な経験を踏まえ、台頭するヒトラーを警戒した反戦映画。
一方でノーマンエンジェルの原作は、まるで今のグローバリストたちが前提とするマッキンゼーのリポートのような内容。

1909年の時点で人々は戦争の愚かさに気づいており、キャピタリストはインターコネクト
した世界経済での大戦争のコストとリターンは自明、戦争によるメリット拡大は最早幻影でしかない(The Great Illusion)と断言している。

本は発売直後から大きな影響を及ぼしたらしい。だが、結局7年後には第一次世界大戦が勃発。その反省と警戒を兼ね、本の著者のエンジェルには1931年にノーベル平和賞が贈られら、そしてフランスでは大作映画「大いなる幻影」が製作された。
だが、結局ヒトラーは止められなかった。

当時のノーマンエンジェルと今のグローバリストの言うように「戦争のメリット」は大いなる幻影か、あるいは、そのような彼らの考えこそが大いなる幻影か。
また試されるだろう。


<投資の天才のフェーズの読み方>

<ハリケーンとミサイル、ピンチはチャンス>

2017年8月4日金曜日

300人の金融ph.Dの頂点はトラック野郎になり損ねた男?



https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-08-03/is-gary-cohn-a-good-pick-to-head-the-fed



< 2017年2月1日のTakizawaレター抜粋 >



このFOMCの結果は、二日間も一体何をしていたの?と聞きたくなる内容。
学者集団とはいえ、直感ではあまりの相場観の無さに驚き。

QE時代、FEDは意図的に利上げにむけての「から元気」を言い続けた。
今のFEDは後2~3回利上げをしたいのが本音のはず。
にもかかわらず、今日露呈された行動力では、(ステートメントの中味)
利上げなどできないまま、次の下降トレンドになるか、
あるいはイエレンでさえ心配するシナリオ、
カーブに遅れ、急激な行動に迫られ、
結局、望んでいない結果になるパターンを想定するしかない(1937年型)。

こういう様をみると、
トランプがGSからCEA長官にゲーリーコーンを入れたのは、
学者だらけのFEDの大改革を前提に、彼をイエレンの後釜に据えるためという、
最初はありえない、突拍子もない、と思った噂に現実味を感じる。

そもそもWSでは圧倒的な頭脳集団のイメージのゴールドマンサックス。
だがコーン氏の最大魅力は、その体育会系の馬力だったとされる。

元々鉄鋼会社へ入ったコーン氏は、早々にそこに見切りをつけ、
NYマーカンタイルのピットに飛び込んだ。
社員研修でNYのマーカンタイルを見学したコーン氏は
大男がひしめき合うトレーデイングピットに感動、
そのままオプションピットの親分に自分を売り込んだ。

翌日の正式な面接の際、
オプションの知識などまったくないにもかかわらず、
一夜ずけの知識と張ったりの迫力で仕事を得たという。

小学生のころ、平均的な子供に比べ
国語力が遅れていることで、コーン氏の担当教師は、
将来は腕のいいトラック運転手を目標すのがベストの選択ではと親に進言したという。

http://nextshark.com/heres-the-ballsy-move-that-got-goldman-sachs-number-2-man-his-first-job-on-wall-street/

そのコーン氏がピットトレーダーからGSの筆頭社長になれたのは
ゴールドのセールスマンからGS会長になったブランクファイン会長とのめぐり合わせ。
90年代にGSはこぞってフロアーオペレーションの会社を買収。
その会社の中にブランクファイン会長とコーン氏がいた。

ブランクファイン会長はそれでもハーバードでマスターを取っている
しかしコーン氏はこちらでは一流扱いされないアメリカン大学の学士だけ。
そのコーン氏がGSで出世できたのは、目標を達成できない部下に対しての
"強烈な指導"だったことは、WSJでも取り上げられた。

いずれにしても、今はあのトランプが米国の大統領だ。
そしてあのバノンがその政権のストラテジスト。
それだけではない。世界で250万人の女性が反トランプの大行進をした翌日、
民主主義などもう辞めて大統領令だけにすべきとコメントしたピーターテイール。
彼はトランプ政権のハイテク業界への指導で多大な影響力をもつ。

アメリカの政権がこのような強烈な個性集団なら
次のFED議長がゲーリーコーンだとしても驚かない。
その場合、戦後ずっとFEDの下にいた金融村の学者型エリートは
心の準備をしたほうがいいかもしれない。

そんななか、イエレンは昨年までのトーンをすこし変えた。
財政と金融の共同作業の必要性をトーンダウンしたのだ。
恐らく、彼女はアニマルスピリッツが点火された状態で
トランプが財政出動を実行する場合、(インフラ投資)
既にジャブジャブの流動性はどうなるか。
急に恐くなったのだろう。

オバマ政権下ではFEDがいくらQEをしたところで、たちまち資金は凍りついた。
FEDのバランスシート拡大に比例しながらも、
氷の塊のままm2まででとどまっていた資金が
トランプによって解凍を始めたらどうなるか。

予期せぬインフレ対応で、マーケットが脱線するのを
恐がり出したような雰囲気だ。(急騰の後の急落)
結果、何もせずステートメントもどこかびくびくしている。、

こういう時代なら、個人的には、
ゲーリーコーンFED議長を見てみたい。


2017年7月14日金曜日

外交の直観力とスピード感


 30年戦争でカソリックのフランスを勝利に導いたリシュリュー



       ナポレンに使えながらナポレオンを個人に罪をかぶせてフランスをすくったタレーラン 


ヒトラーが来ると英国に亡命しながらいつのまにか勝者になったドゴール 



              もしかしたら天才型外交の伝統の引き継いた?



NYTIMESと並ぶ反トランプリベラル系メディアのAtlantic。
同誌がこのタイミングでベトナム戦争拡大 のきっかけとなった、
トンキン湾事件を取り上げたのは、明らかにトランプへのメッセージ。

ただ記事は高級紙とは思えないバカバカしいいナラテイブ。
既にトンキン湾事件はアメリカが仕組んだことは常識。
にもかかわらず、米軍が魚雷発射として処理した影は、
当時のレーダー担当者によればSEA CREATUREだったいう内容。

https://www.theatlantic.com/science/archive/2017/07/giant-pyrosomes-vietnam-war/532893/

恐らく、表面的には見えないが、
水面下では、ワシントンの一部で大規模戦争への画策があるのだろう。
なら場所はどこだろう。中東か、北朝鮮か。
前者なら、リベラル派こんな面倒なことはしないと思う。
むしろシリア攻撃はロシア攻撃に繋がるので歓迎だ。

大規模戦争はもちろんアジアを想定してのこと。
それを望まない中韓の影響下のリベラルが、
過去を持ち出して警告している。

しかし、総じてここまでリベラルのトランプの攻撃はポイントがずれている。
今はトランプの息子とロシアの関係で、本人を弾劾まで持ち込む作戦。
だがロシアのハッカーが不正に入手したヒラリーの材料をトランプ側が使ったとしても、
それで国家反逆罪を立証するなら、ハッカーのスノーデンが、国家から盗んだ情報を、
彼を英雄として公開したリベラルメディアは、まず自分たちを国家反逆罪で訴えないとおかしい。

こんな程度では、米国内のリベラル化は進んでいても、
2018年の中間選挙で民主党が勝ちきることはむずかしい。

因みに1998年の中間選挙はクリントンの弾劾プロセスの最中だった。
もともと共和党は「ホワイトウオーター」で弾劾へ持ち込みたかった。
しかし決め手にかけ、結局は「モニカ・ルインスキー」で攻めるしかなかった。
結果は下院は共和党が4票増やしたが上院は増減なし。
上院の民主党優位は変わらず、弾劾は不成立になった。

ロシア疑惑では、ニクソンの「ウオーターゲート」は無理だと思う。

そんな中でのあわただしいトランプの訪仏。
ずっと前から計画されたのではなく、
直近でマクロンが直観力で招待したものだ。

それ応じるのも、ある意味でトランプの余裕。
ただこれで、G20でマクロンがトランプに寄り添った理由がわかった。
ここまでのトランプとマクロンの関係を整理すると、
二人が会ったのはNOTO会議が最初。
大統領になったばかりのはマクロンはトランプと挑発的な握手。
30歳も年上のトランプは、後で「若造になめらた」漏らした。
https://www.ft.com/content/9b8d2a64-5c17-11e7-9bc8-8055f264aa8b?mhq5j=e1

もしかしたら、それも多少影響したかもしれない。
トランプは直後にパリ協定脱退を正式に表明した。
そこからマクロンは反トランプの挑発を加速した。


Make Our Planet Great Again'


しかしG20の準備で電話会議をした際、 
マクロンはバスチーユ記念日(Bastille Day)に
トランプを招待することを申し出た。

トランプはG20から帰国する。
いくら大統領専用機が快適とはいえ、
フランスへ直ぐまた出かけるのは効率は悪い。
しかし電話から暫くした6月27日トランプは承諾した。

30もの歳の差がある米仏のリーダー。
明らかに個性と価値観は違うが、直観力で対峙すると、
外交スケジュールとはこうなるものなのだろう。
とても日本の外交では感じられないスピード感。

マクロンはトランプを招待する理由として、
今年は米軍が第一世界世界大戦で連合軍として
フランスに到着してちょうど100年になることを持ち出した。
言うまでもなく、二度の世界大戦は、
米軍がフランスに上陸したことで勝負がついた。

建国以来、米仏は米英と別の意味で大人の関係。
世界大戦での米国の栄光を持ち出すのは、
マクロンの二つの計算が窺える。

1)好戦的なトランプの自尊心をくすぐりながら、
2)過去の米国の世界へのコミットをトランプに示すこと。

トランプがこのスケジュールで招待を受け入れたのは、
それに応えてのことだ。

どうみても、トランプが一番嫌いなのは弱虫タイプ。
初対面でマクロンは年上の自分を挑発的したが、
トランプも若い時はそういう男だった。、
だから、多分トランプはマクロンが嫌いではないと思う。
其処にこの演出。
マクロンは、当初自分が感じた以上の天才なのかも。

ローマには抵抗しなかったフランス。(できなかった)
ライン川でローマを撃退したドイツ。

リシュリューは、フランスはカソリックを代表する大国でありながら
30年戦争ではプロテスタント側についてハプスブルグに勝利。
ブルボン朝の最盛期へ。

タレーランは、ずっとナポレオンをささえながら、
彼が敗北すると、ウイーン会議では責任をナポレオン個人になすりつけた。
そして敗戦国のフランスが、なぜか会議で実質の勝利者へ。

ドゴールは、ヒトラーに対抗せず
さっさと英国に逃れたが、ソ連と米国に
ドイツが負けるといつの間にかフランスは栄光の戦勝国に名を連ねた。

強いがゆえに、直情的なドイツとは好対照なフランス。
日本は、ドイツの真似はできるかもしれないが、
フランスの真似をするのはむずかしい。

2017年7月5日水曜日

独立記念日と空気のような善意





今のアメリカは、植民地時代の最後、
すぐ後に起こる独立戦争では援軍を贈ってくれたフランスと戦っている。
いわゆるフレンチインデイアン(7年)戦争だ。

アメリカ側の主力は本国イギリスの国王軍。
英仏本国の代理戦争が、植民地を舞台に繰り広げられたわけだが、
若き日のG.ワシントンは、対フランスのゲリラ戦に参加している。
その経験が、次はそのフランスから援軍を受け、
イギリスからの独立を勝ちとることに役立つことになる。

簡単にお浚いすると、アメリカの独立は、
ジョージ3世に敵対するルイ16世によって援助された。

フレンチインデイアン戦争で植民地を守ったジョージ3世が
発生した財政難をその植民地への増税で対処したところ、
13の植民地がそれに反発した。

怒ったジョージ3世は国王軍による植民地防御の任務を解くと、
国王軍を殺したテロリストたちが大きな反乱軍になり、
その後独立の大義を得て、後の歴史では正義の人になった「建国の父」が
ルイ16の援助でジョージ3世に植民地統治を諦めさせた。

ただアメリカの独立がフランス革命を勇気付けたなら、
ルイ16世は自分で断頭台を呼び込んだ皮肉が残る。

このように、建国以来複雑な駆け引きを繰り広げる米英仏。
今西側諸国で米国に最も敵対するのはフランスだろう。

ただフランスは外交・メディアでは、
直情的で嘘が下手なドイツを矢面に立て、
自分は一歩下がる老獪さをいかんなく発揮している。
もしメルケルがトランプと対峙すれば、マクロンは両者をなだめるのではないか。

そのフランス革命の象徴が自由と平等なら、
アメリカは、Home of Braveと land of Free。
勇気と自由は国歌の最後に登場するアメリカの象徴として
フランスの国歌も「戦場の歌」なのは有名。

調べると、G7 の各国の国歌は概ね勇ましさが強調されている。
例外は日本だけ。「君が代」には戦場の勇ましさはない。
ひたすら世の安寧を祈願し、その象徴である天皇に感謝するような詩。

「君が代」が平安時代の古今和歌集なら当然だが、
これならば天皇を戦争と切り離してしまえば、
日本国民が再び叛旗を翻すことはない。
GHQが1年で「君が代」の復活を許したのもうなずける。

同じ敗戦国のドイツでは、国歌はハイドンの美しいの曲線は残された。
しかしドイツ人の絶対的優位を強調した一番の歌詞はいまだ否定されたままだ。

(注)因みに英国国歌は女王(国王)への畏敬で「君が代」に近い。
でも国王の力で外敵に勝つという勇ましさは残っている。

いずれにしても、日本以外の先進国の国歌は、
勇気を持って戦い、自由や平等を勝ち取ったことを誇りとしている
それに比べると、国歌で長寿と天皇中心の安寧を謳う日本は異質だ。

戦争から70年。今ではそれが日本のすばらしさとして定着。
戦争は全て悪だったとされている。それが、
「国のために戦うか」、という調査の栄誉ある最下位。

でもこれで本当にいいの?
戦後の日本社会は、天皇制をコアに、
アメリカの傘下で戦争には参加しないバランスのなかで成熟した。

この構造の番人が自民党。
今回都議選では小池さんが勝ったとはいえ、
日本人がこの構造を自分からやめる可能性は全く感じない。
しかしアメリカの事情は別である。

アメリカは日本が戦争で負けたアメリカとは少しずつ違ってきている。
 Land the Free はそのままだが、リベラル化が加速するなか、
Home of Braveかどうかは微妙だ。

なぜなら、レーガン時代に理想と覇権の目標に達した後、
米国社会では、大統領が共和党でも民主党でも、
国益とは、経済の優位性と国内のコントロール。
反テロなどの政策はそのための材料にすぎない。

その延長で日米同盟について言うなら、
そもそも「同盟」は日本側の勝手な訳。
アメリカにとって日米安全保障条約は、
あくまでもアライアンスである。

つまり日本人が同盟という響から期待する、
マフィアの血の契り、あるいは宗教で繋がった神との約束や盟約
(Covenant)の感覚はない。 

よって尖閣ためにアメリカが中国と戦うなど、
アメリカにはあってはならないシナリオである。

日頃アメリカ人の中で暮らす立場で断言するが
トランプ大統領が何を言っても、
尖閣でアメリカが中国と戦争をする世論の土台は全く感じない。

ところが、自民党をはじめとする日本の戦後システムのエリートは、
一番肝心なアメリカの事実を日本に伝えようとしない。
むしろごまかす。そんな中、国民の関心は政局や内輪もめ。
ジャーナリストを名のるメデイアはワイドーショーとして
視聴率重視の煽りを展開している。

ならこの表も何も変化をもたらさないだろう。
恐らくブーマー世代はひたすら年金を心配し、
恐らくジェネXは組織での立場と子育てで忙しく、
恐らく社会のボラテイリテイーを知らない若者は
スマートフォンを離さない。

ただ表を良く見ると、平和的でリベラル大国の北欧は、
自国を守る覚悟ではどこも上位だ。

キリスト教が広まる前のバイキング社会には
野蛮とサクリファイスが共存していた。
その強さがヨーロッパの歴史を変えた。
北欧の福祉にはまだサクリファイスが残っている。

一方サクリファイスを伴わない空気のような善意。
歴史的にはそれがほとんど意味を成さないことは、
12世紀の東西を代表する知識人の聖ベルナールと親鸞が指摘している。

なにやら再び蔓延してきたこの空気が、
この4thターニングの出口でどうなっているのか。
アメリカの独立記念日にじっくり考えたい。