ゴゴジャンTakizawa レター

ゴゴジャンTakizawa レター
ビックピクチャーとマーケットのメカニズムは車の両輪

2018年6月6日水曜日

CIAが考える日本の敗因 (レター抜粋)

               チェスターニミッツ提督

ところで、米朝会議へ臨むトランプ政権のスタンスに対し、
一部の日本人には「裏切られた」という感覚があるという。
そこで、本日6月5日は、日本には極めて重要な記念日であることを指摘しておきたい。
76年前の6月5日、日本はミッドウエイ海戦でアメリカに大敗北を喫した。

日本は13世紀後半、鎌倉幕府が世界最強のモンゴルを博多で防ぎ、
明治維新後、日本海海戦でバルチック艦隊を打ち破り、
そしてアメリカを相手に、真珠湾の奇襲も成功した。
しかしこの輝かしい日本の神話は76年前の本日を持って終了した。 

ミッドウエイの戦い詳細は省く。
以下の日本語ウイキペデイアには、
異常なまでの戦いの詳細が書かれているが、
あまりにも詳細すぎて要点がはっきりしない。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC%E6%B5%B7%E6%88%A6

だが今日に至るまで、日本は敗北の要因として
レーダー網や暗号解析の分析力など、
先端技術でアメリカに劣っていたという解説をしている。
しかし米国の分析はその本質面で違う。

CIAのレポートは、当時テクノロジーでは、
アメリカは日本より優位だったことは認めている。
しかしミッドウエイ海戦の勝敗の最大の要因は、
戦力の優劣ではなく、直言すれば、
予想以上に、「日本はバカ正直だった」という単純な見方。

https://www.cia.gov/library/center-for-the-study-of-intelligence/csi-publications/csi-studies/studies/vol50no2/html_files/Intelligence_War_2.htm

そもそもインテリジェンスは以下の3部からなっていると考える。

1)情報を収拾する力 
2)情報を分析する力 
3)情報を展開する力

当時の日本海軍は、1)と2)は重視した様子。
しかし大和魂の精神に合わない?3)において、
アメリカの仕掛けた罠を見抜けなかったという印象はぬぐえない。

真珠湾奇襲成功後、戦力で日本海軍に劣る状況になった米海軍では
山本五十六長官の次のターゲットが何処になるか、
インテリジェンスの限りを尽くして探った。(以下はCIAのレポートから)
ニミッツ提督は山本長官の次の作戦はオアフ島だと考えたという。
しかし確信に至らず、現在のNSAに当たるインテリジェンス機関
の"罠"の提言を受け入れた。

罠とは、ミッドウエイの海軍基地の生水が足りなくなり、
本部に向けて生水補給要請のSOSを暗号なしで発信すること、
もし日本が傍受すれば、米軍を待ち伏せするために
日本艦隊はミッドウエイにやってくる可能性がある。
米海軍は、待ち伏せするため早めにやってきた
日本艦隊を待ち伏せるという作戦。

連合艦隊は元々ミッドウエーをターゲットにしていたが
攻撃の日時など決定では、アメリカの罠に落ちたことは否めない。
アメリカ側の単純な結論は「待ち伏せ」の「待ち伏せ」は成功した。

そこから先の結果は、膨大な日本語版WIKIの執念の解説を信じるとしても
日本人としては受け入れがたいものだ。
だが加えて残念なのは、CIAの分析に、、
米国は、日本がこんな単純な罠に嵌るとは考えていなかったとの表記があること。
レポートは「なぜ日本は米国が本当の情報を英語のまま流すことに疑問をもたなかったのか」と
結んでいる。

個人的にはこのCIAの素朴な疑問に答えがある。
山本五十六長官はポーカーをなど賭け事を好んだという。
加えて、米国に駐在した二年間で米国を学んでいる。
個人的な答えはそこに罠までの芽があったという感覚。

これは現在にも通じる事実だが、数年アメリカに駐在しただけで、
自分はアメリカを知っていると考える日本人の錯覚。

さらにそもそも日本海軍は英国海軍から多くを学んでいる。
山本長官の日本が一年ぐらい頑張れば、戦争が嫌いで陽気なアメリカ人は、
適当なところで講和に乗ってくるとの分析は間違いだった。

そして長官自身の最後となる無謀な移動。
当時米軍にも上級将校をだまし討ちしないノブレス感があったという。
しかし山本長官機を待ち伏せし、撃墜したのはその例外となった。

以前ブログでアムンゼンとスコットの違いを書いたとき
アメリカのエリート大学でのアムンゼンの成功に関する資料の多さに驚いた。
一方英国将校としての矜持が裏目となり、
南極で死んだスコットに対する評価は殆どゼロだった。

トランプと金正恩の米朝会談がどう転ぼうとも、
アメリカの東アジアと世界での対中戦略での
想定的で客観的な利益判断は変わらないだろう。

<参考:犬を喰らう覚悟>




http://marukano-gb.blogspot.com/2013/02/blog-post_16.html

2018年5月19日土曜日

大西洋憲章から太平洋憲章へ (レターから)

実は戦前から戦後体制が決っていた衝撃の大西洋憲章


           属国のままなら日本は蚊帳の外であろう"太平洋憲章"への準備




遅ればせながらイタリアやアルゼンチンなど、
海外の影響を受けている今日の米国市場。
加えて今日は米中(貿易)協議のヘッドラインも待っている。

ただ今更だが、覇権とは武力とマネーだ。
アラブがパレスチナを見放しイスラエルに近づく時代、
突き詰めれば国際情勢もこの二つに帰結するしかない。

それを踏まえ、北朝鮮を挟んだ今の米中は、
今後の世界の枠組みを決める「太平洋憲章(仮称)」を
模索している段階といえるだろう。

その前にまず我我が生きてきた戦後は、
基本的に1941年8月14日の「大西洋憲章」から始まっている。

ヒトラーの侵攻が始まった1939年、チャーチルはルーズベルトに接触した。
やがて始まるナチスとの戦いに米国の助けが必要だったからだ。
(英仏は第一次世界大戦で疲弊しドイツに太刀打ちできる力はなかった)

ルーズベルトは、若い時に会ったチャーチルの印象が悪かったと回顧している。
だが米国の景気が再び悪化し(1937年の失策)ルーズベルトも、
国内の引き締めで打開策が必要だった。(アーセナルオブデモクラシーへ)

そして1941年の8月、二人はカナダ沖の小さな島で極秘裏に会談(写真)
そこで米国が欧州戦線に参戦する大義を確認し、
その後のアングロアメリカン主導の世界の枠組みを決めた。
この時に草案されたのが今の国連、貿易ではGATT、さらに世銀やIMFなど。

日本人として返す返すも残念なのは、パールハーバーはこの後である。
日本にどんな事情があったにせよ、日本にどんな大義があったにせよ、
日本は飛んで火にいる夏の虫だった。

余談だが、ブログやツイートで心がけているのは世界情勢から診た相対的視点。
覇権国家米国のMean Centerに近いシカゴはその点で有利な場所。
そこで直接民主主義の米国民の動向を先読みし、
漏れてくるインテリジェンス情報を過去に照らして読みこなすことで、
ある程度、自分で不確定な未来に対して準備が出来る。

そんななか、時代が大西洋から太平洋へ移ろうとしている今、
覇権国米国が、次の覇権家を窺う中国と対峙しているのが一連の米中協議。

ルーズベルトとチャーチルは結局11回の協議を重ね戦後の枠組みを決めた。
米国の属国で蚊帳の外の日本が、米中協議の結末を想像する上で重要なのは
米国の太平洋地域の利権の推移。そのチャートから、
米国の国益のボトムラインを探るしかない。
まず米国の太平洋地域への触手(国家i Interest )は、
日本人のイメージよりはるかに歴史が浅い。

米国大陸がUSAとして統一されたのは19世紀中旬。
直後に重商主義のフィルモア大統領は黒船を日本に送った。
理由はカリフォルニア(CA)がメキシコから米国に併合され、
米国は太平洋へのアクセスが可能になった、
そこでCAを基点に、欧州に遅れまいと大国清との貿易を目論んだ。

日本の親米偽保守は、日米関係の基点の黒船を日本人の視点でしか語らない。
だが当時米国の太平洋進出の目的はこの時代からやはり中国。(日本は中継点)
そして太平洋の利権で結んだ最初の条約が1905年、日本との "桂タフト協定"。

この時の米国は、驚く早さで近代化を達成し、
ロシアにも勝った日本を一流国家として認めた。
そしてフィリピンと朝鮮半島の利権で、日本と相互協定を結んだ。

協定からは、この時代から米国は朝鮮半島に然程興味がなく、
フィリピンを中心にした海洋権を重視する一方
朝鮮半島の支配権は日本に渡した。
(ここが現在のエリート米系韓国人の屈折した感情の元凶)

この米国の姿勢は戦後処理でも変わらなかった。
日本の敗戦で空洞化する半島処理で、
混乱を避けるため、米ソは暫定的に半島の二分化を決めた。
そして"代理人"として、ソ連は金日成、米国は李承晩を据えた。

ところが、ことのき国務長官のアチソンは、
国益の絶対死守ラインに朝鮮半島を入れなかった。
そもそもこれが、今の米国の、北朝鮮という煩わしさの元凶。

野心的な金日成は、米国のスタンスをみて、韓国侵攻をスターリンに打診した。
だがスターリンは同意せず、ヤルなら勝手にヤレ、
もし頼るなら、毛沢東を頼れと突き放したとされる。(ソ連は米国との対峙を恐れた)

韓国に攻め込んできた北朝鮮軍。虚をつかれた米軍は一旦最南端まで撤退。
そこからマッカーサー軍の快進撃で、一気に北朝鮮領域まで押し戻した。

中国は当初マッカーサーの進撃を黙認していたが
進撃が中国国境まで来るとついに義勇軍を出した。
これを見てソ連は武器を提供した(ソ連らしい態度)。

結局朝鮮戦争とは、米軍が、米国の武器で、
最新鋭のソ連兵器を手にした中国軍と戦った泥沼の戦争になった。

そして時代が変わり、冷戦が終わり
大西洋憲章のパートナーの英国が完全に衰退した。

代わりに太平洋と中国が、世界の成長を牽引しようとしている。、
なら米国は中国と「太平洋憲章(仮称)」を模索するしかない。

大西洋憲章ではポンドからドルへ「禅定」があった。
だが、米国は中国へ「ドルの覇権」の禅定はしない。
今の株・金利・為替、そして商品は、
そのボトムラインの喧騒の中で動いているのであり
中東や北朝鮮は、米中対決の脇役ということだろう。

2018年3月15日木曜日

4thターニングのグレイチャンピオンズ( レター抜粋 )

                                ちょうど45年前の3月14日、5年間の捕虜からマケインは解放された

ペンシルバニアの選挙は民主党候補が勝利。たが僅差だった。
この結果から、中間選挙は下院は民主党が勝つイメージ。
ただ景気がこのままなら、上院は、共和党が増やす可能性が出ている。
よってこの結果はトランプはそれほど悲観する内容ではない。

一方で辞めていくテイラソンに対するトランプの悪態。
これは、その民主党優位の下院で弾劾が起こった後(必ず起こる)、
頼りの共和党上院がトランプを裏切る遠因になる可能性を秘める。
なぜなら、上院は下院よりも大統領に品格を要求するからだ。

過去トランプは共和党上院の大物のマケインを侮辱している。
予備選で反トランプ側を応援したマケイン。トランプは
"捕虜になった男は褒め称えるようなヒーローではない"と罵倒した。

その時マケインは、"確かに私はヒーローではないと”大人の対応を見せた。
マケインは捕虜開放が始まった時期、開放される順番にありながら、
仲間を見捨てることはできないと志願して残った。(拷問)
恐らくトランプはマケインの過去を十分には知らなかったと思う。

一方テイラソンは、ブルッキングス系のリベラルエリートが残り、
クリントン・オバマ影響が一番強力に残る国務省に放り込まれた。
細部でトランプとは意見の違いはあったが、殆どの部下が反トランプの国務省で、
最後までギリギリのバランスを保っていた。
それは大物テイラソンの力量だった。

そのテイラソンに対する侮辱。
個人的にも"やっちまったトランプ"のイメージ。
だがそもそもテイラソンの国務長官人事は、
トランプが望んだジュリアーニ元NY市長を、
共和党エスタブリッシュが拒んだ結果だった。

今共和党上院は、共和党上院議員から、
トランプ本人に請われて司法長官に転じたジェフ・セッションを
ぞんざいに扱うトランプを快く思っていない。(トランプはミュラーを首しないセッションへ怒り)
そして選挙中にトランプにさんざんバカにされたグラハム議員然り、
脳腫瘍でも引退しないマケインからは、来るべきとき、
トランプの弾劾に賛成票を投じる「執念」を感じる。

いずれにしても、昨年末のアラバマと今回のペンシルバニアは僅差。
これは南北戦争前夜を彷彿させる。
本当に国が分裂する前は、選挙結果が僅差になり、
受け入れらない側が実力行使に出る。
4候補が乱立した1860年の大統領選では、
勝利したリンカーンの得票率は大統領史上最低の39%だった。

そして4thターニングを勝利するため、
着々とグレイチャンピオン化する習近平とプーチン。
この時期、国務長官が大統領と一枚岩でないことを曝したなら
そこは敵に付け込まれる。

トランプが前述のリスクを承知しながら、
あえて今ティラソンを切った背景には、
自分もグレイチャンピオンになる必要性があるからだろう。
そこは、4thターニングの読者でもあるバノンの思想と合致する。
(ピーターテイールも同じことを示唆)

北朝鮮強硬派のポンペイオはテイラソンのような大物ではない。
だがトランプの意向を忠実に反映させる男。
もしここにマクマスター後任で強烈な北朝鮮攻撃論者のボルトンが入れば
金正恩は会談で対等な交渉などできない。早々に降参するしかないだろう。
それはトランプの勝利。

4thターニングが始まっているのに
平時の民主主義の理想をそのまま引きずっている平和ボケは、
暴落の前でも、長期投資の理想を信じる素人投資家と同じ運命。
GOOD ON YOUとしか、いいようがない。

2018年3月8日木曜日

The Trade  世界で唯一アメリカを倒せる国 (中国ではないよ)

州別の最大移民者の変遷






長くアメリカに暮らしていると、いつの日かアメリカを倒すのは、
今北朝鮮を挟んで三国志ゲームをやっている大国の中国やロシアではなく、
恐らくメキシコだろうという気持ちなる。

下の添付は2018年に始まったSHOのドキュメンタリー"The Trade”
このTradeは、貿易摩擦ではなく、メキシコ国境を越えて移動する人と薬のはなし。
http://www.sho.com/video/60606/the-trade-series-premiere-tvma

多くのメキシコ人は敬虔なカソリック。一人一人は善良で乱暴ではない。
しかしそのようなメキシコ人が、一度ドラックカルテルのメンバーになれば、
敵対するカルテルのメンバーや、彼らを取り締まる警察官を生きたまま解剖し、
その映像を流し、敵が恐怖で震撼することを厭わない。

彼らの同胞はアメリカの都市部で暮らしている。
この仲間を介し、持ち込まれる大量の麻薬は、
甘やかされて育った中間層の白人の子供を侵食。
敵対する貧困層の黒人は、一層バイオレンスへかきたてられる。
そうなると、限界が近い警察官の横暴は、ますますアメリカ社会を分断する。
まさしく英国のアヘンが清王朝を倒した再現。

そんななか、もし民主党が主張するように
(DACAで)200万を超えるメキシコ不法移民の子供たちが市民権を得れば、
今は共和党の牙城のテキサス、ジョージア、そして最番重要なフロリダは
完全に民主党の手に落ちるといわれている。

そうなれば、政治力でアメリカの保守は消滅。
少数派になった白人福音派たちは(プロテスタント全般)
USAから離脱し、独自のコミュニテイーを築くことになるだろう。 
だからトランプのメキシコ国境の壁は、本当は笑い事はでない。

ただメキシコ人一人一人は、
大都会で暮らす成功者のような贅沢をしたいのではない。
殆どは子供の将来を願い、家族と平凡に明日を生きるためアメリカに住みたいだけ。
だが、結果的に、それはアメリカにとって、
清にアヘンを持ち込んだ英国と、西ローマ帝国に流れ込んできたゲルマン人が
合体したような存在になる。

仮に今、中国やロシアがアメリカを攻撃すればアメリカは結束する。
アメリカの国力は高まり、アメリカの覇権は復活できるだだろう。
だから習近平やプーチンはそんな愚かなことはしない。
じっとしていれば、既にリベラル化で虫歯のような侵食が始まったアメリカは
いずれ勝手に自分で溶解する。
(参考 ローマ帝国の虫歯)
http://marukano-gb.blogspot.com/2011/03/blog-post_11.html

この大陸には、これからもアメリカ人は住むわけだが
早晩日本が今イメージできるアメリカ人とは
異質な人たちになっているだろう。

2018年2月27日火曜日

赤い資本主義の黎明とオピオイド (レター抜粋)


                                   
             
             




From: Osafumi Takizawa
Sent: Monday, February 26, 2018 11:57 AM
To: Osafumi Takizawa
Subject: Takizawaレター <赤い資本主義の黎明とオピオイド>

インデックスはパウエル証言を前にVIXの売りに反応。
ただ前提となった債券の戻り(金利低下)はそろそろ限界。
よって今日は再び株の売り仕掛けのタイミングを示唆。
呼応するように、添付のVIXカーブは右肩上がりへ再び体制を準備。

いずれにしても、次の株下落局面は、VIXが自分で転ぶのではなく、
北朝鮮か、中東か、はたまた米国内か、政治リスクが理由になる。

その際は現物VIXが跳ね上がるだけでなく、
リスクプレミアムを織り込んだVIX先物がより買われるはず。
そうなると、VIXカーブはQE以来ずっと継続してきた
コンタンゴのシーソーゲームから恒常的に右肩上がりへ。
株式ロングオンリーはそれには巻き込まれてはいけない。

そんななか、CNBCでバフェットはエアライン株の買占めを否定しないと表明。
近年「成長株を長期で」との昔の決まり文句を殆どいわなくなったバフェットだが、
今の彼は遅れて買い始めたアップルが代名詞になり(本日のインデックス上昇に貢献)
金利(債券)や流動性全体のなかでのRelative Value「割安」に投資している。

さらに、笑いながら、人類が不幸になるインフレ銘柄を冷徹に増やす一方、(彼は現代のヒューゴステニス)
資本主義の原点の「独占の妙味」にも回帰する様子。
このパターンは、過去250年の資本主義の誕生から発展、
そして終焉に合わせたものにも感じる。

個人的にスケート女子の躍進で日本とオランダの関係を改めで感じたが、
そもそも家康がオランダだけを認めた理由は日本の事情だけではない。(カソリック排除)
この頃のオランダは、ポルトガル衰退の好機を英国とどう分かちあうかで
英国とは異なる資本主義の黎明期を歩んでいた。

というより、まず資本主義が英国で生まれたかのような印象はMyth。
銀行業は15世紀にイタリアで発展し、国債を舞台にした市場主義は
16世紀にがベルギーやフランスで生まれた。

それが17世紀、カソリックとスペインから独立しようとする
オランダのカルバン派市民よって現代の株式市場の原点になった。
個人的には、オランダでこの仕組みが生まれたのは、
彼らが明確な国家ではなかった怪我の功名だと考える。
(英国のクロムウェルの経済封鎖が貢献した面も)

ここで重要なのはオランダと英国の二つの東インド会社の変遷。
最初から株式会社の形態を導入したオランダは金融力で英国に先行。
オランダはポルトガルが捨てたアジアの利権を独占。(ポルトガルはスペインに負けたので)
オランダ東インド会社は金融力を背景にした武力でインドネシアの香辛料を抑えた。

一方この頃の英国東インド会社はまだ市民が株式をもつ形態ではなく、(17世紀後半になって)
金融力でオランダに遅れたことが、3度の英蘭戦争の敗北にもつながった
(最初の海戦は英国が勝ったが政治で負けた、2回目と3回目は海戦でも英国は敗北)

家康はこの時代のオランダの独占の陰謀を受け入れたわけだが、
18世紀になると、市場独占で昔の金融力を使ったオランダが衰退する。
背景にはまず貿易商品の市場価値の比重が、中世の香辛料から(オランダ領インドネシア産)
産業革命を生み出した繊維織物の綿花へ移ったことが大きいとされる。(英国領インド産)

さらにイタリアの銀行業を発展させただけのアムステルダム銀行は信用創造力が不足しており
数々の失敗を経てストックホルム銀行の信用想像機能を発展させた英国の中央銀行に負けた。

こうして産業力を身につけた英国の国力は、貿易の独占に固執したオランダを逆転。
ここから英国型の資本主義が現代資本主義の原点のようなMythが始まった。(否定はしないけど)

Aスミスの国富論とアメリカの独立宣言は同じ年だが、(1776)
第二次世界大戦までの英国型(帝国)資本主義の隆盛と
戦後の復興からアメリカ一国支配完成までのアングロアメリカンの覇権も
リーマンショックを経てその役割を終えようとしている。(トランプに復活させる覚悟は見えない)

そして取って代わるように台頭した中国の " Red capitalism " 
政治で習近平の永世への準備が明らかになったが、
政治と経済の両面で競争の原理を排除できる独占的パワーが、
民主主義と資本主義が脱輪した今の旧西側社会を喧騒をあざけわらっている。

本来この" Red capitalism " に立ち向かうべきアングロアメリカンは
足元で自分主義のリベラルと悪者にされたナショナリズムが衝突。
経済では金融オピオイド意外に成長において成す術がなくなった状態。

この足元の政治と無関係に、未来はアマゾンでビトコインが使えると信じる若者と、
まだまだ自分たちが物事を決めていると考えるブーマーはいずれ世代間の衝突へ。
恐らく勝負を決めるのは、ジェネレーションXがどちらに共鳴するかだろう。 

 <注>c米国人の死亡要因

オピオイド(ドラック過剰摂取)5万人超
銃による殺人自殺事故     約15000人
交通事故           約35000人
 


2017年12月28日木曜日

陸王 ネアンデルタール人のマラソン戦略


            この姿で生き残れるならダーウインの進化論は間違い



クリスマスで時間が余ったので、TVJAPANで「陸王」を見た。
池井戸氏のドラマは確かにおもしろい。
日本では圧倒的存在の銀行を悪者に描き、
弱者の心を掴んでいる。

ただ以前に見た「ルーズベルト」云々も然り、
原作を読んでいないので脚本家の仕事かもしれないが、
この人のドラマは肝となる比喩に違和感。

「陸王」では、ネアンデルタール人が滅び、
ホモサピエンスが生きの残ったのは、
理想的な走り方を学んだ後者が、長距離を走れるようになり、
獲物を捕れたからという解説だった。
まさにランニングシューズのドラマのナラテイブ。

この点についての科学的定説の中で、
個人的に最も納得できるのは、体力的に優れた前者は孤立を好み、
体力が劣る後者は、社会を構築したという説。

腕力に優れても孤立しては最後は死滅する。
ただ生き残ったホモサピエンスも集団社会で喧嘩を始めた。
そのピークが第二次世界大戦だったとして、
そのあとの冷戦に勝利した米国が、
グローバリゼーションで穏健に世界を支配しようとしたのは、
ネアンデルタールに勝利したホモサピエンスの
最終完成形への挑戦だったかもしれない。

ところが、トランプ政権は、
冷戦時代までの仲間を痛めつけても、
自分の体力を増強し、あえて孤立する
ネアンデルタール人へ戻ろうとしている。

リベラルはトランプをクレージーとして決め付けるが、
トランプの戦略の本質は「陸王」のドラマ中に垣間見れた。

シリーズ中盤、陸王を履いたランナーが、一度トップに立った後、
あえて後方に下がるシーンがあった。
これがまさに今のトランプの戦略そのものだろう。

集団を従えトップを走り続ければアメリカとて疲弊する。
ブッシュがやったイラク戦争は総コストは5兆ドルだった。
バノンはこのままではアメリカはローマ帝国の二の舞となると考えた。

ならば一旦は集団の先頭を中国に譲っても、結果的にそれで中国が体力を消耗し、
中国の限界を悟った集団がバラけるころ、満を持して再び先頭に立つ。
無理をした中国は脱落するかもしれない。

ただ集団を引っ張ったアメリカが後方に下がると二番手集団は戸惑う。
アメリカは覇権の利益を捨てたわけではないが、
戦後、負担してきた政治コスト(ノブレスオブリジー)に
トランプたちビジネスマンは価値を感じない。

更に言えば、リベラルに己の限界を悟らせる効果がある。
リベラル勢力の中心のミレニアル世代は冷戦終了後しかしらない。
緩やかな秩序の中、自分本位の自由は生まれながらの権利。
こういう世界では国家の存在に感謝する機会は減る。

ならリベラル勢に思いのままリベラルをやらせてみるのもいい。
誰にも脅かされない自分本位の自由世界がこの世に存在できるかどうか。
草食動物だけでは草食動物は死滅する保守派の原則。(トランプ本人はこの限りではない)

いずれにしても、現実社会のマラソンドラマは、
道具(シューズ)改良や人間の努力より、
マネーの量というオピオイド効果で持続している状態。
最早薬なしで人類はどこまで走れるかわからない。


2017年12月9日土曜日

デカルトとパスカルの戦い,間を先取るトランプ 






rom: Osafumi Takizawa
Sent: Friday, December 08, 2017 10:06 AM
Subject: Takizawaレター < デカルトとパスカルの戦い、,間を先取るトランプ >
水曜日にシャットダウンの可能性は殆どなくなり、
逆に上下両院の減税案妥協が予想以上に難儀する状況に変わっていた。
そのあたりの政治をよく見ている債券市場は大人しい。
一方株先は案の定の乱高下。ダウチャートまだ好転していないが、
週末からCMEで先物が始まるビトコインから、ダウへ資金が流れる可能性が高い。
  
さて、トランプの選挙公約と/現状を比較してみた。(金融市場に影響があるものに限定)

1)中国の為替操作国の認定/実行せず。
2)株高はイエレンのヒラリー応援のバブル/株高は自分への正当な評価。
3)貿易赤字縮小/赤字幅拡大
4)長期債発行拡大/短気債発行の拡大(財務省政策発表)
5)移民コントロール/12月4日最高裁はトランプ政権の政策を批准(主要メディアは一切報道せず)
6)アマゾンの独禁法違反認定/アマゾンの独禁法違反の調査の意欲を示す

自分が原因のエルサレム首都宣言の喧騒をよそに、
昨日トランプは、アマゾンへ政治的に手をつけることを示唆した。
強硬派イスラエル人を喜ばすのと同じく、
より雇用を生み出す旧来型リテールの宿敵を口撃することで、
2020年へ向けて弾みをつけたいところ。(雇用創出のために頑張る自分を演出)
ただしもちろん狙い発表効果だけ。(エルサレム宣言も同じ)
もし本気でアマゾンを痛めつければ、
自画自賛の株が暴落することは承知している。

ところで、昨日の民主党上院議員のアル・フランケン氏の辞任会見、
最後、"自分は潔く辞めるのだから、大統領、あなたも責任を取りなさい” と結んだ。

辞任のきっかけとなったセクハラは、
彼が上院議員になる前のコメデイアン時代のものだ。
普通に考えれば、これで責任を取るのは可哀想。
だが民主党は仲間を犠牲にした。

まるで新撰組の強制切腹だが、(或いは相撲協会と横綱審議会)
狙いは来週火曜日、アラバマで勝利が予想されるロイムーア氏と、
究極的には、選挙戦末期、全く同じセクハラが暴露されたトランプ本人。

トランプを追い込むには「過去のセクハラ」が
「今の処罰」の対象になる世論を形勢をするしかない。
コーク兄弟に買われる前のTIME誌も応援している。(今年の顔)

ただ、個人的には、クリントン大統領時代に生まれたリムジン系民主党は、
ここまで経済格差が拡大したにもかかわらず、
完全に戦う武器を見失っている状態に見える。

まさに経済で自分たちがすべきリベラル政策(金融緩和)で、
第二次安倍政権に先を越されてしまった旧民主党と同じ。
彼らに残されたのは、過剰なコレクトネスへの傾斜。

前日のレターで1973年の最高裁判決から、(Roe v. Wade)
民主党は、それまで ウイルソン FDR ケネディー ジョンソンとつないだ
経済貧困者救済の党是を変更、人権(女性とマイノリテイーの権利)と
ポリテイカルコレクトネスに移したことを紹介した。

カーターとデュカキスはそれで大統領選を戦ったが、
然程良い結果にはならず、(カーターは一期だけ、 デュカキスはパパブッシュに敗北)
テーマを経済政策に戻したのはビルクリントンだった。

ただ冷戦に勝ったことによるクリントンのグローバリゼーションは、
主に都会のサービス業を潤したのみ。平和的アメリカの一国支配が固まる中
主要メディアとリベラルエリートは、更に人権とコレクトネスへ舵を切った。

この時代に大人になった都会のミレニアル。彼らはそのまま民主党支持者になったが、
人権やポリテイテイチカルコレクトネスを言う余裕のない取り残された白人労働者は
民主党を離れた。特にリーマンショック後の回復で、ますます地方は取り残された。

これがバノンが高笑いしている実情だが、
理想を掲げ、その実現に向けて努力することが正しいと考えるリベラルエリートと、
一方人間の能力の限界を知り、自然の摂理に逆らわない保守の原則は、
まさにデカルトとパスカルの違いを感じさせる。

そして政治的にこの二つのイデオロギー両方を利用したのがニクソンだった。
だが彼は「良いとこ取り」に反感をもった仲間の共和党の離反を食い止められず、
最後は後のアメリカへ貢献を考えれば取るにたらない小さなミスで失脚した。

トランプの取り巻きはニクソンの失敗を研究している。
今のところ常に先手を打っている。