ゴゴジャンTakizawa レター

ゴゴジャンTakizawa レター
ビックピクチャーとマーケットのメカニズムは車の両輪

2017年7月14日金曜日

外交の直観力とスピード感


 30年戦争でカソリックのフランスを勝利に導いたリシュリュー



       ナポレンに使えながらナポレオンを個人に罪をかぶせてフランスをすくったタレーラン 


ヒトラーが来ると英国に亡命しながらいつのまにか勝者になったドゴール 



              もしかしたら天才型外交の伝統の引き継いた?



NYTIMESと並ぶ反トランプリベラル系メディアのAtlantic。
同誌がこのタイミングでベトナム戦争拡大 のきっかけとなった、
トンキン湾事件を取り上げたのは、明らかにトランプへのメッセージ。

ただ記事は高級紙とは思えないバカバカしいいナラテイブ。
既にトンキン湾事件はアメリカが仕組んだことは常識。
にもかかわらず、米軍が魚雷発射として処理した影は、
当時のレーダー担当者によればSEA CREATUREだったいう内容。

https://www.theatlantic.com/science/archive/2017/07/giant-pyrosomes-vietnam-war/532893/

恐らく、表面的には見えないが、
水面下では、ワシントンの一部で大規模戦争への画策があるのだろう。
なら場所はどこだろう。中東か、北朝鮮か。
前者なら、リベラル派こんな面倒なことはしないと思う。
むしろシリア攻撃はロシア攻撃に繋がるので歓迎だ。

大規模戦争はもちろんアジアを想定してのこと。
それを望まない中韓の影響下のリベラルが、
過去を持ち出して警告している。

しかし、総じてここまでリベラルのトランプの攻撃は、ポイントがずれている。
今はトランプの息子とロシアの関係で、本人を弾劾まで持ち込む作戦。
だがロシアのハッカーが不正に入手したヒラリーの材料をトランプ側が使ったとしても、
それで国家反逆罪を立証するなら、ハッカーのスノーデンが、国家から盗んだ情報を、
彼を英雄として公開したリベラルメディアは、まず自分たちを国家反逆罪で訴えないとおかしい。

こんな程度では、米国内のリベラル化は進んでいても、
2018年の中間選挙で民主党が勝ちきることはむずかしい。

因みに1998年の中間選挙はクリントンの弾劾プロセスの最中だった。
もともと共和党は「ホワイトウオーター」で弾劾へ持ち込みたかった。
しかし決め手にかけ、結局は「モニカ・ルインスキー」で攻めるしかなかった。
結果は下院は共和党が4票増やしたが、上院は増減なし。
上院の民主党優位は変わらず、弾劾は不成立になった。

ロシア疑惑では、ニクソンの「ウオーターゲート」は無理だと思う。

そんな中でのあわただしいトランプの訪仏。
ずっと前から計画されたのではなく、
直近でマクロンが直観力で招待したものだ。

それ応じるのも、ある意味でトランプの余裕。
ただこれで、G20でマクロンがトランプに寄り添った理由がわかった。
ここまでのトランプとマクロンの関係を整理すると、
二人が会ったのはNOTO会議が最初。
大統領になったばかりのはマクロンはトランプと挑発的な握手。
30歳も年上のトランプは、後で「若造になめらた」漏らした。
https://www.ft.com/content/9b8d2a64-5c17-11e7-9bc8-8055f264aa8b?mhq5j=e1

もしかしたら、それも多少影響したかもしれない。
トランプは直後にパリ協定脱退を正式に表明した。
そこからマクロンは反トランプの挑発を加速した。


Make Our Planet Great Again'


しかしG20の準備で電話会議をした際、 
マクロンはバスチーユ記念日(Bastille Day)に
トランプを招待することを申し出た。

トランプはG20から帰国する。
いくら大統領専用機が快適とはいえ、
フランスへ直ぐまた出かけるのは効率は悪い。
しかし電話から暫くした6月27日トランプは承諾した。

30もの歳の差がある米仏のリーダー。
明らかに個性と価値観は違うが、直観力で対峙すると、
外交スケジュールとはこうなるものなのだろう。
とても日本の外交では感じられないスピード感。

マクロンはトランプを招待する理由として、
今年は米軍が第一世界世界大戦で連合軍として
フランスに到着してちょうど100年になることを持ち出した。

言うまでもなく、二度の世界大戦は、
米軍がフランスに上陸したことで勝負がついた。

建国以来、米仏は米英と別の意味で大人の関係。
世界大戦での米国の栄光を持ち出すのは、
マクロンの二つの計算が窺える。

1)好戦的なトランプの自尊心をくすぐりながら、
2)過去の米国の世界へのコミットをトランプに示すこと。

トランプがこのスケジュールで招待を受け入れたのは、
それに応えてのことだ。

どうみても、トランプが一番嫌いなのは弱虫タイプ。
初対面でマクロンは年上の自分を挑発的したが、
トランプも若い時はそういう男だった。、
だから、多分トランプはマクロンが嫌いではないと思う。

其処にこの演出。
マクロンは、当初自分が感じた以上の天才なのかも。

ローマには抵抗しなかったフランス。(できなかった)
ライン川でローマを撃退したドイツ。

リシュリューは、フランスはカソリックを代表する大国でありながら
30年戦争ではプロテスタント側についてハプスブルグに勝利。
ブルボン朝の最盛期へ。

タレーランは、ずっとナポレオンをささえながら、
彼が敗北すると、ウイーン会議では責任をナポレオン個人になすりつけた。
そして敗戦国のフランスが、なぜか会議で実質の勝利者へ。

ドゴールは、ヒトラーに対抗せず
さっさと英国に逃れたが、ソ連と米国に
ドイツが負けると、いつの間にかフランスは栄光の戦勝国に名を連ねた。

強いがゆえに直情的なドイツとは好対照なフランス。
日本は、ドイツの真似はできるかもしれないが、
フランスの真似をするのはむずかしい。

2017年7月5日水曜日

独立記念日と空気のような善意





今のアメリカは、植民地時代の最後、
すぐ後に起こる独立戦争では援軍を贈ってくれたフランスと戦っている。
いわゆるフレンチインデイアン(7年)戦争だ。

アメリカ側の主力は本国イギリスの国王軍。
英仏本国の代理戦争が、植民地を舞台に繰り広げられたわけだが、
若き日のG.ワシントンは、対フランスのゲリラ戦に参加している。
その経験が、次はそのフランスから援軍を受け、
イギリスからの独立を勝ちとることに役立つことになる。

簡単にお浚いすると、アメリカの独立は、
ジョージ3世に敵対するルイ16世によって援助された。

フレンチインデイアン戦争で植民地を守ったジョージ3世が
発生した財政難をその植民地への増税で対処したところ、
13の植民地がそれに反発した。

怒ったジョージ3世は国王軍による植民地防御の任務を解くと、
国王軍を殺したテロリストたちが大きな反乱軍になり、
その後独立の大義を得て、後の歴史では正義の人になった「建国の父」が
ルイ16の援助でジョージ3世に植民地統治を諦めさせた。

ただアメリカの独立がフランス革命を勇気付けたなら、
ルイ16世は自分で断頭台を呼び込んだ皮肉が残る。

このように、建国以来複雑な駆け引きを繰り広げる米英仏。
今西側諸国で米国に最も敵対するのはフランスだろう。

ただフランスは外交・メディアでは、
直情的で嘘が下手なドイツを矢面に立て、
自分は一歩下がる老獪さをいかんなく発揮している。
もしメルケルがトランプと対峙すれば、マクロンは両者をなだめるのではないか。

そのフランス革命の象徴が自由と平等なら、
アメリカは、Home of Braveと land of Free。
勇気と自由は国歌の最後に登場するアメリカの象徴として
フランスの国歌も「戦場の歌」なのは有名。

調べると、G7 の各国の国歌は概ね勇ましさが強調されている。
例外は日本だけ。「君が代」には戦場の勇ましさはない。
ひたすら世の安寧を祈願し、その象徴である天皇に感謝するような詩。

「君が代」が平安時代の古今和歌集なら当然だが、
これならば天皇を戦争と切り離してしまえば、
日本国民が再び叛旗を翻すことはない。
GHQが1年で「君が代」の復活を許したのもうなずける。

同じ敗戦国のドイツでは、国歌はハイドンの美しいの曲線は残された。
しかしドイツ人の絶対的優位を強調した一番の歌詞はいまだ否定されたままだ。

(注)因みに英国国歌は女王(国王)への畏敬で「君が代」に近い。
でも国王の力で外敵に勝つという勇ましさは残っている。

いずれにしても、日本以外の先進国の国歌は、
勇気を持って戦い、自由や平等を勝ち取ったことを誇りとしている
それに比べると、国歌で長寿と天皇中心の安寧を謳う日本は異質だ。

戦争から70年。今ではそれが日本のすばらしさとして定着。
戦争は全て悪だったとされている。それが、
「国のために戦うか」、という調査の栄誉ある最下位。

でもこれで本当にいいの?
戦後の日本社会は、天皇制をコアに、
アメリカの傘下で戦争には参加しないバランスのなかで成熟した。

この構造の番人が自民党。
今回都議選では小池さんが勝ったとはいえ、
日本人がこの構造を自分からやめる可能性は全く感じない。
しかしアメリカの事情は別である。

アメリカは日本が戦争で負けたアメリカとは少しずつ違ってきている。
 Land the Free はそのままだが、リベラル化が加速するなか、
Home of Braveかどうかは微妙だ。

なぜなら、レーガン時代に理想と覇権の目標に達した後、
米国社会では、大統領が共和党でも民主党でも、
国益とは、経済の優位性と国内のコントロール。
反テロなどの政策はそのための材料にすぎない。

その延長で日米同盟について言うなら、
そもそも「同盟」は日本側の勝手な訳。
アメリカにとって日米安全保障条約は、
あくまでもアライアンスである。

つまり日本人が同盟という響から期待する、
マフィアの血の契り、あるいは宗教で繋がった神との約束や盟約
(Covenant)の感覚はない。 

よって尖閣ためにアメリカが中国と戦うなど、
あってはならないシナリオである。
日頃アメリカ人の中で暮らす立場で断言するが
トランプ大統領が何を言っても、
尖閣でアメリカが中国と戦争をする世論の土台は全く感じない。

ところが、自民党をはじめとする日本の戦後システムのエリートは、
一番肝心なアメリカの事実を日本に伝えようとしない。
むしろごまかす。そんな中、国民の関心は政局や内輪もめ。
ジャーナリストを名のるメデイアはワイドーショーとして
視聴率重視の煽りを展開している。

ならこの表も何も変化をもたらさないだろう。
恐らくブーマー世代はひたすら年金を心配し、
恐らくジェネXは組織での立場と子育てで乏しく、
恐らく社会のボラテイリテイーを知らない若者は
スマートフォンを離さない。

ただ表を良く見ると、平和的でリベラル大国の北欧は、
自国を守る覚悟ではどこも上位だ。

キリスト教が広まる前のバイキング社会には
野蛮とサクリファイスが共存していた。
その強さがヨーロッパの歴史を変えた。
北欧の福祉にはまだサクリファイスが残っている。

一方サクリファイスを伴わない空気のような善意。
歴史的にはそれがほとんど意味を成さないことは、
12世紀の東西を代表する知識人の聖ベルナールと親鸞が指摘している。

なにやら再び蔓延してきたこの空気が、
この4thターニングの出口でどうなっているのか。
アメリカの独立記念日にじっくり考えたい。