ゴゴジャンTakizawa レター

ゴゴジャンTakizawa レター
ビックピクチャーとマーケットのメカニズムは車の両輪

2016年11月21日月曜日

ブラックフライデイの一番乗り






                Handout/REUTERS

大統領選が終わり、そろそろ二週間が経つ。
金融市場では、予想が外れたマイナス効果と、
その後の市場のシナリオも外れたマイナス効果で、
マイナス×マイナスで、結果オーライのユーフォリアが続いている。

個人投資家を相手にする株式評論家なら、一緒に驚いて共感を誘えばよい。
一方で、エリートとされる政治評論家は、選挙結果をあれこれ解説しなければならない。
聞いてはみたが、どれも「正解」とはいえない。
なぜなら「正解」など存在しないからだ。
ところが、どうしても「正解」が欲しい人達がいる。アメリカではない。
アメリカは、世の中の正解が一つでないことが前提の国だ。
必要なのは日本。みんなで一緒に動きたい日本には、
どうしても「答え」が必要なのだ。


そしてこの喧騒のなか、先週の真の主役は、
トランプでも安倍さんでもなく、日銀だった。
日銀はほんの二ヶ月弱前、テーパーリング(イールドカーブ操作)のアナウンスをした。
しかし今度は金利が上がらないように固定するという。
無制限に国債を買い、長期金利を固定するという発表は、
近代国家が、初めて正式にヘリコプターを宣言したということ。
ところが、トランプ騒ぎに没頭している経済メディアは殆ど取り上げていない。

このことは予想されたことではある。しかし、あまりにも早すぎる変質だ。
背景は、トランプの登場は、世界の中央銀行が、
何年も、何兆円もかかって出来なかったことを
彼は一瞬でやってしまう可能性である。

逆に言えば、日銀は、トランプ大統領の誕生と、その後の市場のムードの変化、
そこで発生するであろうデフレモードからインフレモードへの突然変異を
全く予想できなかったことを露呈している。

安倍政権や日銀に影響を与えたクルグマン。
この二週間、彼のブログやNYTIMESへの寄稿は笑える内容になっている。
「悪のトランプは、善の我々が理想としたことを、一時的に達成する」
彼は反トランプを掲げた経済学者の旗頭だった、、。

やはりエリートは、検証は得意だが予想はできない。
ということは、この4thターニングに、エリートばかりを頼る国はどうなるか。
その点アメリカはいろんな人がいる。日本は大丈夫か?

そんななか、今日、アメリカのTVジャパンでは、
去年唐沢寿明が演じた「杉原千畝」をやっていた。
期待しないで観た。傑作といえないまでも、
一つだけよっかたのは、杉原をこれまでような「人道の人」ではなく、
優秀なインテリジェンス専門家として描いたこと。
それは、何年も前から、このブログで杉原千畝の本当の凄さとして主張したこと。

彼はユダヤ人が必ず世界を席巻することを知っていた。だから助けた。
彼はドイツがソ連に侵攻し、日本をアメリカの戦争に巻き込むリスクを訴えた。
だがエリートではなかった杉原を、当事の日本のエリートは理解できなかった。

そして今朝、先週安倍さんがトランプに会ったのは
官邸のインテリジェンスが働いたからだというネトウヨ系のブログ記事があった。
これが日本のインテリジェンスか?

日本のメディアは安倍さんの行動力を称えているが、
はっきりいって、トランプにはさほどプラスの効果はないだろう。
彼からすれば、ブラックフライデイに一番のりしたお客さんと同じ。
もちろんトランプは一番乗りのお客さんを笑顔で出迎える。
こちらのメディアも大々的に取り上げる。しかし本当の重要な客、
つまり大金持は、ブラックフライデイには買い物をしない。

こんな状態で、安保などの日本の立場をトランプ本人に訴えるなど粋ではない。
以前ここで書いた民放の女性レポーター、DO YOU  LIKE JAPAN ?
とトランプに連呼したこととどこが違うのか。日本の余裕の無さを、
世界に向けて発信したようなものだ。

記事が本当なら、個人的には、自分たちの大切な首相に、
こんなことをさせたインテリジェンスとやらに怒っている。
そして、その結果を持ち上げるだけのメディア。
まさにヒラリーが勝つといっていた主要メディアと同じ。

80年前を見た気がする。

0 件のコメント:

コメントを投稿