ゴゴジャンTakizawa レター

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ビックピクチャーとマーケットのメカニズムは車の両輪

2018年5月19日土曜日

大西洋憲章から太平洋憲章へ (レターから)

実は戦前から戦後体制が決っていた衝撃の大西洋憲章


           属国のままなら日本は蚊帳の外であろう"太平洋憲章"への準備




遅ればせながらイタリアやアルゼンチンなど、
海外の影響を受けている今日の米国市場。
加えて今日は米中(貿易)協議のヘッドラインも待っている。

ただ今更だが、覇権とは武力とマネーだ。
アラブがパレスチナを見放しイスラエルに近づく時代、
突き詰めれば国際情勢もこの二つに帰結するしかない。

それを踏まえ、北朝鮮を挟んだ今の米中は、
今後の世界の枠組みを決める「太平洋憲章(仮称)」を
模索している段階といえるだろう。

その前にまず我我が生きてきた戦後は、
基本的に1941年8月14日の「大西洋憲章」から始まっている。

ヒトラーの侵攻が始まった1939年、チャーチルはルーズベルトに接触した。
やがて始まるナチスとの陸の戦いに米国の助けが必要だったからだ。
(英仏は第一次世界大戦で疲弊しドイツに太刀打ちできる力はなかった)

ルーズベルトは、若い時に会ったチャーチルの印象が悪かったと回顧している。
だが米国の景気が再び悪化し(1937年の失策)ルーズベルトも、
国内の引き締めで打開策が必要だった。(アーセナルオブデモクラシーへ)

そして1941年の8月、二人はカナダ沖の小さな島で極秘裏に会談(写真)
そこで米国が欧州戦線に参戦する大義を確認し、
その後のアングロアメリカン主導の世界の枠組みを決めた。
この時に草案されたのが今の国連、貿易ではGATT、さらに世銀やIMFなど。

日本人として返す返すも残念なのは、パールハーバーはこの後である。
日本にどんな事情があったにせよ、日本にどんな大義があったにせよ、
日本は飛んで火にいる夏の虫だった。

余談だが、ブログやツイートで心がけているのは世界情勢から診た相対的視点。
覇権国家米国のMean Centerに近いシカゴはその点で有利な場所。
そこで直接民主主義の米国民の動向を先読みし、
漏れてくるインテリジェンス情報を過去に照らして読みこなすことで、
ある程度、自分で不確定な未来に対して準備が出来る。

そんななか、時代が大西洋から太平洋へ移ろうとしている今、
覇権国米国が、次の覇権家を窺う中国と対峙しているのが一連の米中協議。

ルーズベルトとチャーチルは結局11回の協議を重ね戦後の枠組みを決めた。
米国の属国で蚊帳の外の日本が、米中協議の結末を想像する上で重要なのは
米国の太平洋地域の利権の推移。そのチャートから、
米国の国益のボトムラインを探るしかない。
まず米国の太平洋地域への触手(国家i Interest )は、
日本人のイメージよりはるかに歴史が浅い。

米国大陸がUSAとして統一されたのは19世紀中旬。
直後に重商主義のフィルモア大統領は黒船を日本に送った。
理由はカリフォルニア(CA)がメキシコから米国に併合され、
米国は太平洋へのアクセスが可能になった、
そこでCAを基点に、欧州に遅れまいと大国清との貿易を目論んだ。

日本の親米偽保守は、日米関係の基点の黒船を日本人の視点でしか語らない。
だが当時米国の太平洋進出の目的はこの時代からやはり中国。(日本は中継点)
そして太平洋の利権で結んだ最初の条約が1905年、日本との "桂タフト協定"。

この時の米国は、驚く早さで近代化を達成し、
ロシアにも勝った日本を一流国家として認めた。
そしてフィリピンと朝鮮半島の利権で、日本と相互協定を結んだ。

協定からは、この時代から米国は朝鮮半島に然程興味がなく、
フィリピンを中心にした海洋権を重視する一方
朝鮮半島の支配権は日本に渡した。
(ここが現在のエリート米系韓国人の屈折した感情の元凶)

この米国の姿勢は戦後処理でも変わらなかった。
日本の敗戦で空洞化する半島処理で、
混乱を避けるため、米ソは暫定的に半島の二分化を決めた。
そして"代理人"として、ソ連は金日成、米国は李承晩を据えた。

ところが、ことのき国務長官のアチソンは、
国益の絶対死守ラインに朝鮮半島を入れなかった。
そもそもこれが、今の米国の、北朝鮮という煩わしさの元凶。

野心的な金日成は、米国のスタンスをみて、韓国侵攻をスターリンに打診した。
だがスターリンは同意せず、ヤルなら勝手にヤレ、
もし頼るなら、毛沢東を頼れと突き放したとされる。(ソ連は米国との対峙を恐れた)

韓国に攻め込んできた北朝鮮軍。虚をつかれた米軍は一旦最南端まで撤退。
そこからマッカーサー軍の快進撃で、一気に北朝鮮領域まで押し戻した。

中国は当初マッカーサーの進撃を黙認していたが
進撃が中国国境まで来るとついに義勇軍を出した。
これを見てソ連は武器を提供した(ソ連らしい態度)。

結局朝鮮戦争とは、米軍が、米国の武器で、
最新鋭のソ連兵器を手にした中国軍と戦った泥沼の戦争になった。

そして時代が変わり、冷戦が終わり
大西洋憲章のパートナーの英国が完全に衰退した。

代わりに太平洋と中国が、世界の成長を牽引しようとしている。、
なら米国は中国と「太平洋憲章(仮称)」を模索するしかない。

大西洋憲章ではポンドからドルへ「禅定」があった。
だが、米国は中国へ「ドルの覇権」の禅定はしない。
今の株・金利・為替、そして商品は、
そのボトムラインの喧騒の中で動いているのであり
中東や北朝鮮は、米中対決の脇役ということだろう。

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